メイプルストーリー

おしゃべり広場

キャラクター名:
カオスマンD
ワールド:
ゆかり

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創作物語

刀と扇物語弐 二拾四 「流れ着き・・・」 日付:2016.11.06 08:56 表示回数:331

ハヤトは未だに海中を彷徨っていた。

(くっ、このままだと息が・・・!)

身体を必死にもがいても身動きは取れない。

(くっそ・・・)

ハヤトの意識は一旦ここで途絶えてしまった。


「・・・ん・・・くん・・・トくん・・・」

誰かの声が聞こえた。

「・・・ヤトくん・・・ハヤト君!ハヤト君!」

名前を呼ばれ、ハヤトはゆっくりと瞼を開ける。目の前に映ったのは、顔見知りの赤髪の少女と青髪の少女。

「・・・アヤメ、クイナ」
「ハヤト君大丈夫!?しっかりして!」
「ハヤトさん!しっかりして下さい!」

それはアヤメとクイナだった。二人は何度もハヤトの名前を呼んでいたみたいだった。

「・・・うっ、っ・・・!」

ハヤトはゆっくりと上体を起こす。三人がいたのは何処かの海の砂浜だった。

「ハヤト君、目が覚めたんだね。あ~良かった~」

アヤメはホッと息を撫で下ろす。

「えっと、二人共、皆は?」
「分かんない。多分あたし達だけはぐれちゃったかも」
「そっか・・・」
「あー、ハヤト君、起きてすぐに悪いんだけど、何処か休める所に移動しよっか?近くに漁師小屋見つけたからさ」
「あ、そうだね。分かった」

三人の衣服は海水をたっぷり吸って冷たくなっているだけでなく重くなっている。このままなら体温を奪われて命に関わる。

「うー、全身びしょ濡れで寒いよー」
「我慢しましょうよ先輩・・・ハックシュンッ!」
「二人こそ大丈夫・・・」

ハヤトはここで気が付いた。アヤメとクイナの着ている改造巫女服。その上側は白い布地で出来ているのだが、海水を吸っているせいで生地が透けてしまい、二人の下着が見えてしまっていた。

「?ハヤト君どうし・・・」

ハヤトの顔がある一点に固定されているのに気付いたアヤメはその先、つまり自分とクイナの胸元に目をやる。
アヤメは顔を赤くしながら慌てて胸元を隠し、クイナも遅れて気付き、赤面して胸元を隠す。

「も、もうっ!そんなジロジロ見ないでよハヤト君!」
「あ、ゴ、ゴメン!」

ハヤトも視線を逸らす。

「むぅ、ハヤト君ったら、こんな時に・・・」
「ゴメン。本当にゴメン・・・」

少々気まずい空気の中、三人は漁師小屋に辿り着いた。中に入ってみると、火を焚くための囲炉裏に薪が置いてあった。

「良かったー。これで暖は取れるね」
「そうだね。早速火を熾そう」
「あ、ハヤト君、火を熾すのも良いんだけど、その前にやりたい事があるんだけど・・・」
「え?何?」

ハヤトが訊ねると、アヤメはまた顔をほんのり赤く染める。

「・・・その、こっち見ないでね」


暫くして。

(((・・・気まず過ぎる!)))

三人は今、濡れた衣服を全て脱ぎ、下着姿になっていた。衣服は壁側に干して乾かしている。
無論アヤメとクイナは横に並び、ハヤトとは背中合わせになって座って相手を見えないようにはしている。しているが、密室空間で男女三人が下着姿である事実は変わらない。
中でも一番恥らっているのはクイナだった。さっきから身体をモジモジさせながら胸元をギュウゥゥゥッと隠している。

「あ、あの先輩、凄い恥ずかしいんですけど・・・」
「クイナ、我慢して。服が乾くまでの辛抱だよー」
「そ、そうですけど、あの・・・」
「心配しないで良いよー。ハヤト君は男の子だけど堅物だからあたし達を襲ったりしないから。だよねハヤト君」
「うん。こんな状況ではまずやらないし、そうでなくてもやらないから」
「で、でも・・・」

クイナはまだ15歳である。それなのにやたら発育が良くて胸も大きく育ち、尻や四肢も色っぽく肉付きが良い。それ故にクイナとしてはハヤトと背中合わせでも恥ずかしくてたまらないのだ。

「クイナ、大丈夫だよー。密偵やってたらさー、いつでも裸に剥かれてばっかなんだし、これぐらい我慢しないと立派な密偵にはなれませんよー」
「先輩、それは分かってるんですけど、慰めになっていないような・・・」
「うん。慰めてないよ。事実を突きつけただけー」

アハハハと苦笑いしながら言うアヤメに、ハヤトとクイナは同じ様に苦笑いするしかなかった。

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