メイプルストーリー

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キャラクター名:
カオスマンD
ワールド:
ゆかり

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創作物語

刀と扇物語弐 二拾五 「修羅場①」 日付:2016.11.06 18:45 表示回数:342

三人の修羅場が始まってから三十分が経過した。

「「「・・・」」」

さっきから一切の会話が無く、只時間だけが過ぎていた。

「・・・う~」

だが、アヤメとクイナが両腕で身を寄せている回数が多くなりだしてきた。

「二人共、寒い?」
「え?あ、だ、大丈夫だよー。ちょっと肌寒いけど平気平気~」
「わ、私も大丈夫です・・・」

大丈夫と言っているが、普段から心技体を鍛えて強靭な肉体と精神を磨いているハヤトと違い、アヤメとクイナの肉体は普通の女の子の身体を少し鍛えた程度しかない。まして海水で濡れて体温が下がりつつあるこの状況、火を焚いているとはいえ時間が立てば立つほど危険になってくる。

(困ったな。服はまだ乾ききってないし、何か羽織るものでもあったら・・・)

ハヤトは漁師小屋の中をキョロキョロと見る。すると隅に何かが積んであった。藁が掛けられていて気付かなかったが、ハヤトはその藁を取って中を確認すると、それは毛布が二着あった。

「アヤメ、クイナ、毛布を見つけたよ。服が乾くまでこれでも羽織ってて」

戻ったハヤトは背を向けたまま下着姿の二人に毛布を渡す。

「あ、ありがとう。でもハヤト君は?」
「私は大丈夫だよ。これくらいなら耐えられる」
「だ、駄目だよそんなの。ハヤト君が使いなって」

アヤメは渡された毛布をハヤトに付き返す。

「それだとアヤメが何も羽織れないじゃないか。女の子にはしたない格好のままは良くないよ」
「あたしは大丈夫だよ。いつもお父さんに裸にされてお尻叩かれてるし」
「「・・・」」

ハヤトとクイナは、アヤメが普段どんな生活を送っているのかが心配になった。

「で、でしたら先輩、私のを使って下さい」

クイナは自分に渡された毛布をアヤメに渡す。

「大丈夫だよクイナ。それよりもクイナの方が心配だよー。クイナ寒がりだし」
「い、いえ、良いんです。後輩の私なんかよりも先輩が使った方がよっぽど良いですって」
「クイナ、あたしは良いから使いなって。風邪引いちゃうよ?」
「嫌です。それに、役立たずの私なんか風邪引いちゃって全然構いませんから。勿論そうなったら遠慮なく置いていって皆さんの所に向かって下さい」

クイナは強引にアヤメに毛布を押し付けた。

「本当に大丈夫ですから。私なんて、いつも皆さんに迷惑掛けてますし、いっそここで脱落しちゃった方が・・・」
「えいっ(むにっ)」

業を煮やしたアヤメは、クイナの両頬を指で摘む。

「ら、らにすりゅんれふかれんはいっ(な、何するんですか先輩っ)!?」
「クイナ。前にも言ったよね?自己犠牲が美化されるのは御伽噺の世界だけだよ?ここでクイナがいなくなったら、あたしやサクノが生き残れる確率が大きく減ったりするんだよ?分かってるの?」
「れ、れも(で、でも)・・・」
「・・・あーもぅ、しょうがないなぁ」

溜息をついたアヤメはクイナに身を寄せて、二人まとめて毛布を被せた。

「せ、先輩?な、何を・・・」
「こうすれば問題解決だね。抱き合ってたら暖まるし、女の子同士だから安心安全~」
「で、でも、その、ハヤトさんが・・・」
「クイナー、先輩の言う事聞かないといけないよー?」
「・・・は、はい」

クイナは観念したのか、黙ってアヤメと一緒に毛布を被る事にした。したのだが、

(・・・二人共、私がいる事を忘れてないよね?)

ハヤトはこの後何か起こると嫌な予感をしていた。

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