【二人の関係についての考察】
ダルモアの目的が、暗黒の魔法使いと同じようにオバシアに対抗するためだったとしたら、封印石はオバシアにより作られたものですから、対敵者の中にある封印石を割るのも納得がいきます。
しかしそれでも彼は対敵者の封印石だけならまだしもセレンの聖剣も折っています。(しかしこれについては図書館内に修復方法がある可能性があるので残したのも考えられます)
また、ダルモアはハイレフを恨んでいる。と言っていますが、何故ハイレフだけではなく他の種族まで死に追いやろうとしているのでしょう？
「未熟な生命の無意味な足掻きが見ているだけで本当に哀れだ」と言いますが、それは殺すほどのものなのでしょうか？元々殺すつもりはなくても結果、邪魔になるから殺してしまう(殺してしまった)という行動は、嫌いなハイレフと変わりないのではないでしょうか？
もしオバシアに関わるもの全てが憎いのだとしたらその理由はなんでしょう？
ギルモはハイレフにより特別な呪術を施され、多くの種族を憎むようになりました。その呪術が記載された本はセルニウムの王立図書館で発見されています。
元々のギルモは教団に寵愛を受けるほどの天族であり、彼自身も神を盲信しています。
彼が聖剣搬送任務の指揮をとり、ローランドたちを囮役として使った主犯でもあります。聖剣を守るため文字通り何でもやった彼に、連合は理解を示せない雰囲気でしたが、彼自身は追撃隊にいたハズです。神を盲信しているギルモが、ローランドのように「逃げる」という選択肢を持っていたとは考えにくいからです。
ローランドの部隊は囮でしたが、囮と言っても囮が囮だとバレてしまえば作戦の意味はありません。つまり追撃隊は囮部隊とセレンの部隊、両方を守らなければいけないのです。
聖剣搬送任務で生き残っているのを現在確認できるのは、奇跡的に生き残ったセレンと、逃げ延びたローランドのみです。
そして、ギルモはセレンに「死んでいった戦友たちを忘れたわけではないだろう？」と聞いています。作戦に参加していなければこのような台詞はいえないでしょう。
ギルモはおそらくすでに死んでいる人物だと思われます。何より彼のKMSでの二つ名は『召された者』です。
ダルモアが図書館で発見した呪術をハイレフがギルモに使ったのか、ハイレフが元々その呪術の内容を知っていたのか。どちらにせよ、その本が書かれるには一番最初の実験対象がいたハズであり、その対象がギルモであるとは考えにくいです。
もしセルニウムにある古文書が先述したようにウッドレフ達のものだったとしたら、その研究をしたのはおそらくウッドレフ達です。そして分断される前のレフ達は異種族と関わることも許されない鎖国的な政治を行っていました。そうなると実験対象となるのはおそらくレフの誰かでしょう。
例の本に記載された実験対象は誰のことを差しているのでしょうか？そのレフはおそらく様々な種族を憎んでいることになるでしょう。
そして実験記録を記した者は一体誰なのでしょうか？その人はレフ内で研究ができるほどの地位を持った役職についているハズです。
勿論ただの妄想レベルの憶測ですが、この考察の根拠はもう一つあります。
グランディス、とくにハイレフのシナリオはここまでキリスト教観を彷彿とさせる描写がとにかく多いです。
ダルモアの部下、暗黒の魔法使いでいうところの軍団長の扱いであろう使徒というのは、本来キリストの高弟のことを言います。
また、他にもハイレフでは、アーク、リンボ、アロンなど、キリスト教を連想させる名前が使われています。
アークはそのままノアの方舟のことでしょう。
リンボは辺獄という、カトリックでの用語で、生前洗礼を受けることができなかった聖人たちが落ちる地獄のことをいうそうです。
アロンはモーセの兄であり、民に言われるがまま金の子牛の像をつくり(要は偶像崇拝した)神の怒りを買った人物と言われています。
また、アークのオープニング曲でありテーマ曲でもあるDoomsdayには、キリスト教で審判の日という意味があります。
さらに、ウッドレフに関連するものは基本鉱物の名前からとられていますが、イリウムの使う聖槍ロンギヌスは、キリスト教での聖遺物として知られています。ロンギヌスは貼り付けにされたキリストの脇腹を刺した槍で、手にしたものは世界を制する力を手に入れることができる反面、手放せば後は破滅が訪れるといわれます。現在、現実のロンギヌスの槍は行方不明です。実在しているかすら怪しいそうな。
もう一つ、セルニウムのシナリオで『宗派が分かれてしまっているが、結局は同じ神を崇拝している』という話は、いくつもの宗派に分かれているキリスト教にも当てはまることです。