第一話　無意識教室　｛１ページ目｝　　　　　　　
　この話はある転校生が夏先にやってきた頃から始まった、その子はとても気さくな子で誰とでも仲良く話すことからすぐクラスで人気者になった。ただ・・一つだけその子には悪い癖があった。
女子生徒Ａ「あｗあそこにあんたの好きなＢ先輩がいるよｗ」
女子生徒Ｂ「え・・・どこ！？」
女子生徒Ａ「・・プッｗアハハｗ嘘だよ～ｗ」
女子生徒Ｂ「え～～・・なによそれ・・。」
女子生徒Ａ「あははｗ何あわてて髪なんか直してるのよｗアハハｗ」
　そう・・・虚言癖とでもいえばいいのか・・とにかく冗談で嘘をつくことが多く、そのことで皆をからかったりしてはその反応を見て楽しんでいた。・・・もちろんそれでも度の過ぎたものはなく約束事はしっかり守ってくれる人だったのでクラスの皆からは愛嬌の一つとして人気に拍車を掛けるだけのものだった。
　もちろん私もそんな彼女とはすぐに気が合い・・・親友として共に過ごす事が多くなっていった。
　そんなある日の美術の時間・・・その娘が質問してきた。
女子生徒Ａ「ねぇねぇ・・なんであの扉側から４番目の席だけ空いてるの？」
女子生徒Ｂ「・・あぁ、あの席はね・・・呪われてるの。」
女子生徒Ａ「呪い？」
　呪いという言葉に興味を持ったのか、そのことについて詳しく追求された。
女子生徒Ａ「・・・昔ね、この学校の美術部に美術の天才っていわれてた男子生徒がいたの。・・・でも彼は実はそこまで美術に打ち込むつもりはなくて趣味で終わらせたかったらしいの・・だけど周りがそれを許さなくて・・・夜遅くまで絵を描かせたり彫刻をやらせたりして親もそれを後押ししていたから彼自身何もいえないまま追い詰められてたのね・・。」
女子生徒Ａ「・・で、それでどうなったの？」
女子生徒Ｂ「・・・その年のコンクールに出す作品で彼はどうしても先生たちを納得させられる作品を作ることが出来なかったの。・・毎日毎日あの４番目の席で座らされて作品を作ってはやり直して・・・そんなある日・・・彼に限界が来て「僕の左手が悪いんだ！！こんな手！！こんな手！！」って先生たちの前で自分の利き手の左手を彫刻刀で切り落としちゃったの・・・それで先生達もあわてて病院に連れてったんだけど結局は間に合わなくって失血死しちゃったんだって。」
女子生徒Ａ「うわ～～・・・先生もそんなになるまで強要しなければいいのに。」
女子生徒Ｂ「あ・・でもこの話は美術の先生の前ではしないでね・・・ほら今の美術の担任の先生いるでしょ？」
女子生徒Ａ「ああ、あの眼鏡かけていつもガミガミ文句ばっかりいう先生？」
女子生徒Ｂ「実はその先生がその子を評価して残らせてた先生なんだよね。」
女子生徒Ａ「へぇ・・・。」
女子生徒Ｂ「だから彼が死んだ場所は今も彼の怨念が残ってて怖がって誰も座りたがらないのよ。彼の癖で嫌なことがあるとガリガリって自分の左手を無意識に掻き毟るんだって・・・だから彼にとりつかれると皮膚から血が出るまで左手を掻き毟るんだってさ。」
女子生徒Ａ「ふ～～ん・・・そっかｗ教えてくれてありがとｗ」
　その子は話を聞くと嬉しそうに自分の席についた・・・あの時彼女が何をしようとしていたのか知っていればと今更ながらに思う。
　次の日の美術の授業で彼女は黒板の字がよく見えないのであの４番目の席に座りたいといった。もちろん先生も止めたし私もやめたほうがいいといった・・・でも彼女はそれを無視して４番目の席に座った。
　授業が中盤に差し掛かった頃・・・ふいに彼女の席からガリガリという音が聞こえたので見てみると・・・彼女は自分の左手を掻き毟っていた。
美術教師「き・・・君！！その手をかくのをやめなさい！！」
　あわてた様子で先生が彼女を注意した。
女子生徒Ａ「え・・・私・・・アレ？なんで手なんか・・・別に痒くもないのに。」
美術教師「・・・・・っ！！」
　その言葉にクラスメイトはもちろん先生も驚いた・・・特に先生は顔からサ～と血の気がなくなり・・・ついに・・・
美術教師「・・・今日は自習だ・・・各自課題をやっておくように・・・。」
　そういい残して教室をでていった。
女子生徒Ａ「・・・プッｗアハハハｗ」
女子生徒Ｂ「え・・・ど、どうしたの？」
女子生徒Ａ「嘘だよウソｗまさか本当に信じるなんてｗアハハハｗ」
女子生徒Ｂ「・・・あのねぇ。」
女子生徒Ａ「ごめんごめんｗ実は私彫刻苦手でさｗこれでのんびり出来るやｗ」
　クラスメイトはいつもの嘘とわかってほっとしたが・・・実はこの会話は先生に聞かれていたらしく・・・次の日から彼女は先生の嫌がらせであの４番目の席に座って作業するようにいいわたされた。　　次の記事へ