ツミキリの詩 {1ページ目}
春の季節・・・私は丁度この学校の2年生になった・・・何もかもが新鮮で新しく始まるはずの季節・・・だけど私の中では全てが色あせて何一つ楽しいと思えるものがなかった。
なぜなら私の親友のマーちゃんが去年の冬・・・自殺したからだ。
彼女は浴槽で発見された・・・手首を万能包丁でバッサリと切った失血死だったそうだ、遺書にはただ「生きていくことが辛くなりました、ごめんなさい。」とだけ書かれていて・・・学業の成績が悪かったことからそのせいで悩んで自殺したのだろうと警察の人は言っていた。
だから私はすごく辛い・・・だって・・・本当は・・・
そんなことを延々と悩んでいるうちにいつの間にか春になり・・・新しい学年になってしまった。「後輩を持つようになったからには学業もスポーツもより力を入れて頑張るように。」という先生の言葉もただの教室に響いている音としか私は認識できないほど無気力に・・・生きることにすら気だるさを感じていた。
そんなある日・・・私はある噂を耳にした。
女子生徒A「ねぇ、知ってる?ツミキリの詩のノートの噂。」
女子生徒B「知ってる知ってるw願いを叶えてくれるノートのことだよねw」
女子生徒A「違うわよ、過去の罪を一度だけやり直すチャンスを与えてくれるノートよ。」
女子生徒B「過去の罪?」
女子生徒A「そう、例えば自分があの時ああすれば良かったとか、しなければとか思うことあるでしょ?それをそのノートに書くとその過去に戻って一度だけやり直すことが出来るの。」
女子生徒B「へぇ・・・私はてっきり願いを叶えてくれる魔法のノートかと思ったわ、でもタイムトラベルってロマンチックよねw私も一度体験してみたいわねw」
女子生徒A「噂によるとさ、カウンセリング室の横に匿名で悩みが書けるノートがあるでしょ?あれの入っている戸棚に黒い表紙に「ツミキリノ詩」って書かれたノートがあるらしいわよ。・・・私も探しにいったけどそれらしいの見つけられなかったのね。」
女子生徒B「へぇ・・・。」
女子生徒C「・・・・・・・。」
ただの噂話・・・そんなことはありえない、でもなぜか・・・その噂話だけは私の頭の中に残った。
ある日、職員室に先生に頼まれてプリントを届けた帰りに、私はめったに通らないカウンセリング室の前の廊下を通った。
女子生徒C「・・・ツミキリの詩。」
ふとその時、あの噂話を思い出した。
そんなことはあるはずがない・・・ある訳がないと思いながらも、私は自然と他のノートには目もくれず・・・黒い表紙のノートを探し始めていた。
女子生徒C「・・・あった。」
そのノートは思いのほか早く見つかった・・・ボロボロの黒い表紙に白い文字で「ツミキリノ詩」と何処か機械的に書かれたノート、私はゴクリと
唾を飲み込むと・・・そのノートに目を通した。 次の記事へ
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