炎が燃え盛るリス港口の中、レジスタンスのクルーと瑠奈は冒険者と市民の救出にあたっていた。
しかし侵略部隊の本隊が出動したことを受け、一刻も争う状況に陥った。
襲いかかる敵兵を拳で蹴散らしながら、逃げ遅れた市民と冒険者の誘導をしていたが、本隊出動で次第にそれが難しくなっていった。
敵兵の強さも急激に上がり、助けきれなかった冒険者が次々と殺されていった。
レジスタンスの任務はあくまで救出、敵兵を殲滅することではない。
今のレジスタンスの戦力では本隊を壊滅することは愚か、撤退させることすらままならない。
クルー「くっ・・・このままでは救出作戦に大幅な支障が出る・・・。やはり戦うしかないのか」
クルーは敵兵との戦闘中、そう呟く。
瑠奈「クルーさん!こちら側に死傷者が出ました!このまま戦えば全滅の可能性も・・・」
瑠奈が端末からの報告を聞きながらクルーに言った。
クルー「分かっている!今はこの状況をどう打開するか・・・」
オリベイラ「おーい!お前ら無事か!?」
2人の元へオリベイラが生き残った部下と逃げ遅れた冒険者と市民と共にやってきた。
オリベイラ「諜報部隊によると本隊がこの街の中心部を囲むように進軍している!このままだと俺たちは袋の鼠だ!」
クルー「なっ・・・!」
瑠奈「い、一体どうすれば・・・!」
クルーと瑠奈が顔を蒼白させる中、オリベイラが落ち着いて話を続けた。
オリベイラ「残された道は二つだ。本隊の一角を切り崩して脱出するか、どこか頑丈な施設で篭城して援軍が来るのを待つか、だ。」
瑠奈「クルーさん。本隊の構成はどうなっています?」
クルー「2~3次職クラスの兵士で主に構成されています・・・さらに最悪なことに・・・」
クルーが言葉を一旦切った後、再び口を開いた。
クルー「4次職クラスの兵卒が2名、4次職寸前の兵卒が1名、さらに侵略部隊の隊長は強力な兵器を携えていると報告がありました」
瑠奈「今の状態の私たちで脱出できる可能性は・・・」
クルー「・・・ゼロに近いです」
クルーは言葉を終えた後、しかめた顔を下に向けた。
彼らの部隊「のみ」なら脱出はできないわけでもない。
しかし今の彼らは丸腰の市民と負傷した冒険者を抱えている。
この状況で敵の一角を切り崩しながら脱出を図る事など無謀だ。
誰もが選択肢は篭城しかない・・・そう思っていた。しかし――
クルー「しかし、ひとつだけ安全に敵の目を欺きながら全員脱出できる方法があります」
クルーの発言に皆は希望の光が見えたような錯覚がした。
瑠奈「お、囮ですが?」
瑠奈がおどおどした様子で尋ねた。
クルー「いや、それよりももっといい方法です。実は保安庁の地下に―」
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