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創作物語	月の廃墟	日付：2011.05.20 04:36	表示回数：429
「こんばんわ」渋谷の廃墟と、それと同調するように黒く沈んだ夜空を上を向いて眺めていると、いつものように彼女はぼくの横に現れる。「やぁ、キミも懲りないね」「それは嬉しいよ。やっと戻る気になったかしら？」彼女は、二つの赤黒い眼でぼくを見据える。いつもの無表情。いつもの眼。「じゃ、早くジパングに戻りなさい」「…キミは、キミたちは」この未来の世界でキミはひとりぼっちのぼくに希望を与えてくれて、そしてキミたちはふたりぼっちだったボクを絶望の底へ突き落としてしまうのに… 「あなたが、なんであの子に其処まで固執するのか。私には理解しかねる」「じゃあさ、ボクがこのまま現代に帰ったとき、キミは寂しくないようにしてくれる？」彼女はいつもの無表情のまま、くびを機械的に、丁度１５度くらい右に傾けた。あぁ、ヒューマノイドのキミには友達も家族もかけがえのない大切な"人"もすべて判らないんだね。
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