サウスペリ村は、この小さきメイプルアイランドに存在する唯一の漁村である。
人口はアムホストより少し多い程度であり、対して豊かさだって変わらない。
だが、この村に住む人々はがっちりとした体型をしており、力強さが伝わってくる。
そして、白い石作りの建物が特徴的だ。
「えーっと、宿屋、宿屋は・・・あれか?」
看板を辿りながら宿屋を探すアルフレートだったが、どうにか宿屋を発見した。
真夜中とは思えぬ程のざわめきが聞こえてくる。
・・・こんな所で立ち止まっていてもどうにもならない。とにかく入ろう。
木製の少しカビたような扉を開けると。
そこは酒場のような・・・いや、酒場そのものだった。
いかにも強そうで、凄いひげを生やした男達がテーブルを囲んで、手にエールの注がれたジョッキを持って雑談してたり、物凄いいびきをかいて寝ていたりした。
そして漂う潮臭さと男の汗臭さ・・・
少しの間唖然としていると、前から大柄な男がアルフレットに向けて話しかけてきた。
「よお、若い兄ちゃん!サウスペリの宿【潮風と船亭】にようこそ、歓迎するよ」
どうやら彼はこの宿屋?のオーナーらしい。
なんだか穏やかな笑みを浮かべながら、此方に話しかけてくる。
「兄ちゃん、サウスペリ生まれじゃあねえよな?ははは、見ればわかるさ!」
「あ、ええっと、アムホストから来ました」
「おお、わざわざ遠い所からご苦労さん!一杯どうだい?」
そんなこんなで雑談をし、わかったことがあった。
この宿屋は一階は酒場であり、二階が宿屋として機能していること。
そして、彼はアルフレートに様々なことを教えてくれた。
「それじゃ、僕は焼きベーコンと水で・・・
あと部屋は一泊でお願いしますね、代金は幾らでしょう?」
「ええっと、夕食が水代抜きで3メル・・・宿代は一泊だから5メル。合計で8メルよ!」
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