メイプルストーリー

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Dora猫s
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創作物語

薊の舞 6話 日付:2012.12.07 22:05 表示回数:356

「そういえば、4年前お前が弟子入りした時は小さく頼りなかったが、今は少しずつだが成長していってるな」

腕立て伏せをしている途中、師匠は天井を仰いで呟いた。
俺は、少し照れくさくなったが黙々と腕立て伏せを続ける。

100回終わって次の指示を待つ俺に、師匠は問いかけてきた。

「お前は、この修行で得た力を何に使うんだ?」
「俺は・・・・・・武士になってこの里のために貢献したい」
「そうか・・・・・・。その力は大事なものを、里を守るために使うんだ。決して私利私欲や復讐のために使ってはいけない。それは一時的にすごい力を授けてくれるかもしれない。しかし、長い目でみたら大事なものを守るために使う者のほうがもっとずっと強くなれるんだ」

今日の師匠は、なんか物寂しそうな・・・・・・。なにかが朽ち果てるような目をしていた。
俺も、何かが朽ち果ててしまうんじゃないかという恐怖が襲ってきそうだった。

「あ、今凄く良い事言ったな。うんうん。今日の3時のおやつはこの餡の饅頭でいいぞ」

・・・・・・どうやら俺の勘違いだった。
どうせ、何かいいこと言ったら「自分へのご褒美」とか言って甘い物を食べる算段だったんだ。
どれだけ甘い物がすきなんだろう・・・・・・。

「まぁ、そんな冗談はさておき。次の修行は右手のブレイドを扱うことだな」
「腕が攣りそう・・・・・・。師匠、休憩頂戴よぉ」

実際、腕立て伏せで腕と胸と腹――様々な筋肉がギブアップコールをしていた。しかし、師匠はうーんと頭を悩ませていた。

「うーん・・・・・・今は急いで少しでもお前を強くしなければならないんだよ」
「なんでさ? そんなのいつでもできるじゃないか。実際問題、かれこれ4年の付き合いなんだし」
「あのなぁ、4年は付き合いすぎだぞ。恋人関係だったらもう結婚できてるんだぞ。むふ」

確実に結婚できているとは限らないが、師匠の顔の面があまりにも公共の場にだしてはいけないものだったので、俺は冷たい目線で師匠を凝視する。

「ジョークだよジョーク。とにかく、お前が一人前になってくれないと、隠居生活がえんじょいできないからな」

さっき私利私欲云々といっていた気がするけど、英語? とやらをやたらにに使う師匠だった。
しかし、今日の師匠はどうもよく分からなかった。
いつもの師匠なら、一緒に筋トレや修行を行い、一緒に笑ってきたが、今の師匠は深く悩んでいる様子だった。それは本当にもう、なにかが朽ち果ててしまうような、とても恐ろしいものが迫ってきているのかもしれない。

「さて、修行を始めよう。太陽はまだ沈んでいるぞ!」
「それを言うなら、太陽はまだ昇っている。じゃない?」

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