重たい瞼を開く。
グラグラと揺れる視界の中、唯一見えたのは燃え盛る城。どうやら、意識が無くなっていたらしい。
そして、手には一輪の薊の花が握られていた。握りすぎて茎がへし折れている。赤い色の液体が固まっているのも分かった。
薊の花といってもボロボロになっており、花の方も原型を留めていない。
俺はズキズキ痛む全身に鞭を打って立たせる。本当にこうしているのも精一杯だった。
立ってから改めて周りを見渡す。ここの風景も前回とそう変わらない。木も枯れているを越しており、くの字に折れ曲がり、葉は枯れ葉の一つも見当たらなかった。
そんな風景を見渡し、今も炎を吐き、空中で翻弄しているドラゴンを見据える。
薊の花をもう一回握りながら思う。
残酷な奴らめ・・・・・・。今日の日は一生忘れない! 最後の一匹までこの手で処分してやる!
この里のみんなのためにも、兄さんのためにも、師匠のためにも・・・・・・。俺が・・・・・・俺が仇を討つ。
記憶が混同しているからなのか、師匠の言っていた言葉がよく聞き取れなかった。が、これだけは鮮明に覚えていた。
「薊の花言葉は・・・・・・」
薊の花は言わば不吉だ。
その一輪の花は綺麗だ。しかし、その綺麗さゆえに誰も触れない。触れないようなガードをはっている。
それでも俺はこの薊の花に触れている。
俺と薊の花は運命的な出会いをした。
師匠が言っていた。薊の花は桜が散ってから少し経った後に咲くものだと。だが、この薊の花は違った。まるで、俺に何かを伝えているかのように咲き、その綺麗さで俺を呼び寄せた。
思えばなぜ、俺は簡単に薊の花に触れたのだろう? 茎のほうを触ったから? いいや、決して違う。
その綺麗さを保つためのガード――言わば棘が俺を受け入れた。そして俺も薊の花を受け入れる。
薊の花の花言葉を――受け入れた。
「そう・・・・・・『復讐』だ」
一匹も残らず殺す。痛みつけて呻き声をあげても切り刻んで、この二刀で痛みつけて、痛みつけて痛みつけて痛みつけて痛みつけて痛みつ――
途端に、足の感覚が麻痺した。どうやら、筋肉に限界がきたようだ。
俺は無抵抗に地面に倒される。・・・・・・もう手足が動かない。
「ははは・・・・・・」
「ちく・・・・・・しょう」
―――――
書いているうちに、あれ?ストーリーが変わるな。と思ったのでまた佳月を寝かせました(笑)
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