「行く宛てなんて・・・・・・あるわけないよな。・・・・・・なぁ、秘桜蔭に入ってみないか?」
「秘桜蔭・・・・・・?」
俺がその言葉を口にした時、男の顔は晴れやかでハキハキとした。
「ああ! 竜から人々を助けるための集団だよ。俺は紅といって、その秘桜蔭のスカウトマンなんだ」
紅は、あえて腰をそらして胸を張る。ニッ、と歯を見せるその姿はまさにビジネスマンなんだろう。
だが、俺は集団で動くなんて子供じみたことはしない。俺だけで十分だ――ドラゴンの傷を深めるのは。
「誘ってくれるのはありがたいが、俺は一人でやる。そこまでされても、俺は救われた人間と思ってしまう。そう思いたくないんだ。自分だけ特別っていうのが・・・・・・」
俺の言葉に紅はガクリと肩を落とす。
少し間が空いたが、しばらくすると彼は顔を上げる。その時、曇りかけていた青空が一気に晴れた気がする。
「分かった。でも、これは俺のミスだ。お前をいつでも待っている。俺という存在を忘れないでくれよ」
すっ、と手さ指し伸べてくれた。
その時、まだ戻れるのではないか、しかしそれは所詮綺麗ごとを並べた錯覚だ。
俺は勘違いしている。自分だけ生き残ってしまった罪悪感。それを仇に変えて突き進まないといけない。どこまでもどこまでも――そこに壁があっても、そんなものを壊してしまうくらいの覚悟で行かなければ、今の俺が壊される。
だからここで握っては駄目だ。ここは壊さなければいけない。青空を閉ざさないといけない。
「礼だけは言っておこう。俺はもう行く」
握手はしなかった。その事に、紅は肩を落としてガックリしていた。その様子は、スカウトマンとしての姿勢ではなく友達として接してくれたのだろう。
・・・・・・大丈夫。俺もお前を忘れやしないよ。
――――――――――
プロローグはここで終わりです。
まず、1話から全部みてくれた方、途中からみて読み返してくれた方、この最終話だけみてくれた方に感謝です。ありがとうございます(。。)
メインキャラクターがカンストレベになり、リンクスキルを設定しないといけないわけで、このキャラのペンギンアバ消えるのでキャラクターを変えることにします。なので一応最終話とさせていただきました。
次からは前回のキャラのほうで投稿していく予定です。その時にまた、1話からこれまでを投稿させていただきます。
あとは副題をつけようと思います。その方が話の展開が分かりやすいかなーと。
最後に、次回の更新は前回のキャラで12月22日or23日の予定です。お楽しみにっ♪
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