メイプルストーリー

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キャラクター名:
雪嘩
ワールド:
かえで

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創作物語

残念なミハエルのちょっとした冒険劇 日付:2013.01.01 22:57 表示回数:466

そこで、二つの影が同時に交差した。
キィンッ──。
重なり合う剣の音。
あれから、どれくらいの時間が経ったのだろうか。
俺は確かに約束したはずだ。
彼女を守ると。
どんな事があってでも、彼女を守り通してみせると。
ならこれは何だ。
「何故・・・」
俺は目の前にいる白髪の男に向かいそう言った。
男は目を閉じ、次なる一撃の為に力を溜めていた。
恐らく次で最後のつもりなのだろう。
彼の周りにはソウル、光の精霊たちが集まっていた。
「何故なんだ…師匠」
大地を照らしていた月は雲に隠れ、闇夜が視界を悪くする。
俺は手に持つ愛剣、レズホモウを片手から両手持ちに替えると、目の前の男、師匠と同じようにソウルを集中し始めた。
さらにそのソウルを三分割し、宙と地に新たなソウルを形成、全てのソウルを注ぎ込んだ。
これはかつて教わった師匠の剣に独自改良を施した俺だけの剣技、ヤラナイカの構え。
「来い、若造。お前の剣でこのわしを超えてみせよ!」
師匠は全てのソウルを解放すると、俺目掛け切り込んで来た。
俺はそれを目の前にしてもまだ動かず、じっとその場で待っていた。
時が満ちるのを。
「ハアアアアアアッ!」
師匠が最後の大技、ヤメルンダーを発動した。
それと同時、辺りに光がさす。
空を覆う雲が動き、月が再び大地を照らした。
──今だ。
俺は全てのソウルを解放し、師匠のその剣を受け止めた。
「何・・・」
それに続き懐に潜り込んだ俺は、隠し持っていた短剣で、師匠の心臓を貫いた。
「ぐ・・・」
短い叫び。
そして、倒れる師匠。
俺は己の手で、己の師に手をかけた。
これは流派ソウルマスターの禁忌事項。
だが、そんな事は知った事ではない。
俺はあの日、流派を抜けたのだから。
そう、あの日。
この短剣の持ち主である彼女──我が妹、ミハールが死んだ時から。
俺、ミハエルの復讐劇は、始まっていたのかもしれない。





多分。

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