10分、いや15分だろうか…随分長い間走っていた。
気づけば何の為に走っているのさえ忘れ、
噴き出る汗は目や口に入り、とどめなく流れていた。
:はぁっ…はぁっ……
ドサッ
膝が地面に着く。重力がのしかかっているのを直に感じる。
:くっ
もはや身体が限界を超えた状態。
動けなくなるのも必然だった。 ただでさえ暗闇の中、目を瞑って走るのと変わらない状況でそれほどまでに走れたことが不思議であった。
精神が崩壊する・・・
光の見えない世界。
壊れそうになる心にとどめをさされる事も恐れず、再び立ち上がった。
くらっ ぐにゃり・・・
世界が歪む。
ドサッ
・・・・・っと倒れたはずだった。
しかし、身体はまだ直立していた。
脳は身体を倒そうとして、震えている。
体は今倒れてはいけないと震えている。
ただでさえ暑いのだ。
体温が上がる。
:ぅぐ・・・ もう、これ以上は・・・
:だめだ…ここで倒れたら……また同じ運命を辿る…………
:なんなんだ・・・一体・・・・・・
:くそっ……、やはりこれ以上は無理…なのか…………
ガクンッ
バタッ・・・・・・
ドサ・・・
先ほどまで開かれていた目は、
既に力を失い、閉じられていた。
………。
|