『さぁ皆さんお待ちかね!、
生徒会によって作られた新種目!!!、その名も「お姫様競争」! 』
太陽の元、無駄に元気が良い放送部の生徒の声とその他の
生徒たちの拍手と悲鳴に近い声が聞こえる。
『ルールは簡単、この競技は各クラスの男子が女子をお姫様だっこ
してこのグラウンド一周を全力で走ってもらいます!
優勝したカップルはそのクラスに高得点をあげ、さらには学校一の
カップルの称号を頂けちゃいます。 た・だ・し、途中でリタイア
しちゃったら彼女さんや生徒たちから冷ややかな目で見られちゃうかも~って事なので
お気をつけて~』
なかなか黒い笑顔で後半あたりどきつい事を言った放送部の生徒、また
この企画を考案した生徒会ども・・・
「何で僕がこの競技に出なくちゃいけないんだー!!!!!!」
グラウンドのスタート地点で僕は叫ぶ。
急にお姫様だっこされたと思ったらま、まさかこのような競技に出る羽目に
なったとは・・・。
ぜってー呪ってやる・・・。
「そう怒るなってー、楽しもーぜ!」
「楽しめるわけねーだろっこの犬っころ!!!」
半ブチ切れ状態の僕はお姫様だっこの状態で犬っころ(転校生)に八つ当たる。
ちなみに僕たちはスタート地点に来るのを遅れたという事で一番最後から
スタートするらしい。
まぁそんな事はどうでもいい、とりあえずさっさと下ろしてほしい。
嫌われ者の僕が人気者に抱っこされているとなると周りの目線が痛い。(特に女子)
また内緒話がすっごく聞こえているのでここに居づらい。
「とりあえず下ろせ、周りがうっとおしい」
「やだ」
「ほかの人を見つけろ」
「やだ」
「僕より霜月の方が断然軽いだろ、そっちにしろ」
「やだ」
「・・・・やだ以外なんか言えや!!」
なんなんだコイツは!!?
本気でキレそうになった僕は次の言葉を投げつけようとするが転校生が先に話しだした。
「・・・お前まだ一つも競技出てねーだろ?、せっかく体育祭実行委員で
頑張ってくれたんだからさ、参加しても良いはずだ。
それに俺はお前と競技参加したいしな!」
犬みたいな凛々しい顔で笑う転校生。
僕はその発言にポカンとした顔で相手を見る。
その言葉は人間嫌いだった僕の心に確実に沁み渡っていた。
不意に『僕でも参加していいんだ』なんて思ってしまった。
いかんいかんっ 人間の情に飲み込まれるな。
まぁ・・・そのあれだ、これ以上否定して泣きそうな顔になられては困るし
それはそれで周りの目線が痛いから・・・まぁ許してやるか、今日だけ。
「・・・転校生、初めて運動会と間違えなかったな。それは褒めてやる。」
「へ?」
「ご褒美だ、今日だけだぞ。」
「良いのか?!」
「ただし安全運転でな。」
「あー、それは無理かも すでに皆スタートしてるしな。」
転校生の言葉に目を見開いて前を見る。
すでに女子を抱っこした男子たちが走りだしていた。
「は、え、ホントだ・・・ってえっちょっと待って」
僕はパニックになる、これは嫌な予感。
「んじゃ、スピード出して行くぞーーーーーー!!」
転校生は車にでも乗っているかのようなスピードで走り出す、これはヤバい。
「ちょっと待てってうわぁああああああああああああああああ!!!!!!」
恐らく体育祭で一番大きな声を出したであろう。
もちろん一位は僕と転校生だ、そして優勝も僕のクラスだ。
まぁこれで優勝してなかったら転校生を確実にしめていたがな。
ちなみに優勝賞品の三日休日は転校生が作った全くのデマ、その件については
僕の鉄拳で終わらせたからご安心を。
こういうのも悪くないっ思ってしまった自分に殴りつつ
もう二度とアイツにお姫様だっこをされるまいと心に誓った僕でした。
まぁそんな誓い、アイツの前では一瞬で崩れると思うけどね。
あとがき
この場面はすでにイメージしてましたっ←
まぁ一応ここで章は終わります。
また新しい章が始まるので見てくれたらうれしいです。
終わりはいつやら、書きながら決めていきたいと思います。
|