此処まで来てあと一人が登場するのだろうと思うだろうが、それは大違いであり大当たりだ。
出来事にはそれを残す人が必要だ。だからこそ、全員が揃うことなどありはしないのだ。
よほどのバグが起きない限り、ありえないのだ。
「あぁでも、そういった話も、あってよかったのかもしれないなぁ」
偽勇の剣:03
燃えている。リーフロードを埋め尽くしていたモンスターたちが燃えている。
だがしかし、状況としては全然シリアスでもなんでもなくて、これは所謂……暴走?
やれやれ、この人別の意味で悪化していないか。
「おー、きのこ系列はよく燃えるなー」
「ねぇイクス……その手にあるパイナポーのようなものは一体」
「手榴弾だけど?」
英雄がなんつうもん使ってんだ!!
この目の前の惨状を、一瞬で引き起こし、一瞬でモンスターを全滅させたというのはまだいい。
だけれど、その方法が酷すぎる。荷物として置かれていた小麦粉をばら撒き、その中へ
爆発物。手榴弾を投げ込んで粉塵爆発をさせる。というのは流石に酷い。酷すぎる。
大体そんなものをどうやって手に入れたんだ。友人よ。
「アイテム製造スキルを弄ってるとな、出来るんだよ」
「できねーよ」
「と言うのは嘘だ。裏通りな方々から貰った」
「貰うなよ」
「結構便利だぞ? なんなら持ってくか」
「いらねーよ!!」
聖剣を突っ込み道具にした馬鹿がリーフロードにて目撃されたが、それはきっと他人だと思いたい。
と思ったが当然僕だった。
*
「……おい、何でお前がついてきているんだ」
「乙女の護衛をするのは当然のことだろ?」
「いやそうじゃあなくてだな、誰も頼んでないからな。ヒールジール」
この男。一体何を考えているのか。
ニコライはエヴィンと共に連合会議に参加するべく、最終準備を整えていた。そこに彼がやってきた。
人間嫌いのヒールジール。表面上は普通に優しいやつなのだが、本質はとうてい言えたもんではない。
目的の為ならなんでもする。ヒールジールは、そういう冒険者だ。
「姫に頼まれたのだから、お前ごときに何を言われても。私はひかぬよ」
姫。というのはエヴィンか。ヒールジールはなぜかエヴィンには心を開いている。
人間、ではないのだろうか。それとも彼女が例外なのか。
「ああそうかよ、勝手にしろよ」
雰囲気的には、ヒールジールも何か目的があるようだ。
そうでなければわざわざニコライに接触することもないだろう。
まったく、此方は早く聖櫃の剣を見つけ出したいと言うのに、どうしてこうも不安定要素が増えるのか。
「……邪魔はするなよ」
「その言葉、そっくりそのまま返させてもらおうか」
人間嫌いは、本当に苦手だ。
*
「それで、オレは、いつになったらドラゴン退治に参加できるんだっ!」
「知らんがな」
カニングシティーの夕焼けに、一つ叫びが響いた気がしたが、きっと気のせいだろう。
逸脱。
(ありえない道へ)
(ありえない先へ)
*あとがき
精神非異常者さんより、人間嫌いのヒールジールをお借りしました。
引き続きニコライさんもお借りしています。というかこの先レギュラーでしょう彼は。
イクスやシエルの二人はかなり元の物語から改変されていますが、まぁなるようになります。
登場人物の応募は:01よりお願いします。
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