「・・・・・・そういえばなんで俺がここに来たいって事分かった?」
あれから少し経った頃、俺は唐突に思い出したので言った。
「え?だって、君がここに来たと思っているのを察知―――――」
「そうじゃない、方法だ。どうやって察知したんだ?たくさん人はいるのに、どうして俺はここに呼ばれたんだ?」
そう言うとピンクビーンは何やら難問を解いてる時の様に顔をしかめ、そして唸った。
「どうって言ってもね・・・・・・君が来たと願った、から僕が呼んだ、としか言いようがないね。それとなぜ君なのかはまだ話せないなー。」
その答えはなんとも的を得ないものだった。俺を呼んだことに関しては完全にはぐらかそうとしている様に見える。マスコットの様な顔をして、秘密主義者とは。
「なんで“まだ”話せないんだよ」
「ん?・・・・・・最後にした方が理解できるから、かな?」
またよくわからない答えが返ってきた。府に落ちない。しかしここで無理やり聞き出そうとしても敵わないだろう。いろんな意味で。
だから俺は口を閉じて黙ることにした。
が、ピンクビーンがまた何か意味有り気な事を言ったのでそれは叶わなかった。
「・・・・・・・あ、時間だ。」
「じ、時間って?」
突如言ったその言葉に対して疑問を覚える。何か用事でもあるのだろうか。
だが肝心のこいつは、俺の問いを無視して続けた。
「まぁ、またいつか呼ぶから、そんとき色々説明するねー。」
「おい待て、なんでそんな早口なんだよ。第一時間って―――――――」
俺が立て続けに話している最中、それは突然起きた。
白い光に包まれ、視界に霞がかかっていく。体は誰かに抱擁されているかのように軽くなり、まるで不快感がないかのようだった。
時間とはこの事だったのか。そう思いながら、これが二回目であることを思い出した。
そうえいば、目が覚める前もこんな事が――――――。
薄れてゆく視界の中、ピンクビーンはただこちらを見ているだけだった。
そんなやつに、俺は問う。
――――あんた、何を知っている・・・・・・?
そうして、視界は完全にぷつりと途切れた。
「・・・・・・本当に色々と教えてもいいのでしょうか」
「うん、あの人は信用なるから。」
「しかし、憎しみを糧に生きている人間など――――――」
短い手を前に出して話を遮った。すると神官は不満げではあったがちゃんと黙った。
「確かに、憎しみだけに生きてる人は信用ならないよ。そんなことくらい僕にだってわかる。ただ、あの人は・・・・・・憎しみ以外にも色々もっているから大丈夫」
「勘、ですか?」
「勘だねぇ・・・・・・」
そう言うと神官は長い溜息をついてあきれた素振りを見せた。しかしそれもつかの間
「あなた様の勘は良く当たりますからね・・・・・・そうおっしゃるのなら、仕方ない事ですね」
「仕方無い!?仕方無いだって!?」
「ちゃんと納得したんだからいいじゃないですか!」
またため息をつく。
・・・・・・この子といいあの子といい、なんでそんなにため息をつくのかな?
そんな事を思いながら、あの男のいた場所を見つめる。
また来ることを願って、そして―――――
「・・・・・・戻ろうよ」
「そうですね・・・・・・はぁ」
「あ、またため息ついた。」
次来た時、ここに呼んだ理由をちゃんと話すために。
|