メイプルストーリー

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キャラクター名:
だら助
ワールド:
かえで

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創作物語

蓮美端道の生徒壊潰し 75話 日付:2014.01.30 23:49 表示回数:328

愛積が唖然とするなか、僕は続ける。
「だから僕の恋人になってくれないか」
「……ッ!? んな!?」
 愛積は好戦的な顔つきのまま頬を染める。
 だが殺気を鋭くして僕を睨むと、奥歯を剥き出しにして、威嚇する様に叫ぶ。
「っざけんじゃねぇよ!? そんな饒(じょう)舌(ぜつ)、誰が信用するかってんだ!! それに俺様はもう、てめぇに興味とかねぇし!? くたばれ端道!!」
 拳を振りかぶると、遠慮など無い攻撃速度で僕の顔面を捉える。
「参撃(サード)」
 愛積の振り抜いた鉄拳が、僕の顔面を直撃した。
 びぎびぎぃ!! と鈍い音が這う様に鼓膜に響く。顔面の骨に亀裂がはいったか? 鼻骨がやられた影響か、鼻血がどくどく溢れる。
「おい!? 端道!!」
 焦燥する狩野に視線を移し、なだめる様に微笑んでから、愛積に視線を戻す。
「顔面、粉砕まではしてないぞ。僕に愛想が湧き始めたか? 嬉しい話だ」
「端道!? 安易に挑発するな!!」僕の軽率な態度を危惧したのか、狩野が制する。
「君は既に参撃(サード)まで食らってるんだぞ!? 次の攻撃を食らったら――」
「黙ってろ!! これは僕と愛積の問題だ!!」
 憤慨する僕を見て、愛積は滑稽そうに失笑する。
「狩野の言う通りだぜ。端道、てめぇは次!! 次に俺様の攻撃を食らったら絶命する状態なんだぜ? もっと危機感を持てよ。俺様に勝つ? むりむり。あっははは!!」
 勝負を終始愉快そうな表情で観戦する摘葉が、苦笑しながら提案する。
「端道。僕は降参を勧めるよ。生徒壊潰しはもう達成したじゃないか」
「……。わかってないなぁ摘葉。誰も、誰もこの勝負の真意を理解しちゃぁいない」
 僕は愉快に微笑む。狩野が、摘葉が、愛積が唖然とするなか、愉快に微笑む。
「これは僕と愛積の真剣勝負なんだ。僕が愛積に! 愛を伝える勝負(ステージ)なんだぜ!?」
 愛積が唇を噛み締め、摘葉が素っ頓狂な表情を浮かべるなか、
「君はもう……最高だな」
 狩野が苦笑する。
「真・最終決戦と豪語されたこの勝負を、縁談の舞台にするか」
「だから最初から言ってるだろ。この勝負は、そういう勝負だ」
「百戦恋魔が承諾すれば縁談決着で勝利。破談すれば絶命して爆死だわな」
「愛積を最初に裏切った僕だ。命も懸けるさ」
「殊勝な心意気だな」
 僕が軽く微笑んで、愛積を見据える。愛積の視線は冷徹だった。
「俺様とまーだ恋愛関係になる気か」
「僕は諦めが悪いよ。命懸けちゃうぐらいはね」
「……ああ。最後までてめぇは危機感がたりなかったな」
「愛積!!」急に高まった声量に愛積が困惑するなか、僕は続ける。
「僕が君がだいすきだ。誠心誠意、愛してる。だから……――」
 緩やかに微笑む。だが、頬を涙が伝っていた。
 それで感情のせきが切れて、堪えていた気持ちが濁流のごとく溢れ、涙が滝の様に流れる。その状態で僕は、懺悔でも呟く様に言葉を漏らす。
「嘘ついてごめん……。ごめんな……ぁぁ!!」
「!? ……っぐ、あぁあああ!! もういい! もう!! いい!!」
 愛積が眼を見開き、歯を食い縛りながら悶絶している。葛藤しているのか、涙を滲ませながら唸り声をあげる。摘葉が当然、僕や狩野も動揺して言葉を失うなか、愛積は暴れる感情を鎮めると、静かに微笑む。背筋に氷でも触れた様な、嫌な悪寒が僕を貫く。
「恋愛も愛情も、もういい。俺様はてめぇを殺すだけだ。俺達の関係に決着をつける」
 拳を緩やかに振りかぶるのを見て、僕は微笑む。
「……。それが君の結論か?」
 拳を強く、強く握り締めるのを見て、僕は頷いた。
「なら異論はない。僕は君を、愛してるから」
 愛積の振り抜いた拳が、僕の腹部を捉える。
 遠慮とか後悔とか、そんな感情を微塵も感じさせない、洗練された鉄拳だった。

「死撃(ジ・エンド)」

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