「切り込むぜっ」
レオは腰に佩いた刀を抜きながらハヤトに向かって一直線に走りこむ。
「レオが突撃してきた……か、とりあえず僕が一騎打ちに持っていくから、ほかの皆は防衛ラインを突破しに行って」
ハヤトはレオの動きを見て、突撃部隊に指示を出す、それと同時にハヤトも馬から降りると鞘から長剣を抜き放ち、レオに突撃する。
殺傷能力のない武器のため「バンッ」という音と共にレオとハヤトの武器が競り合う。
「まさか、レオが兵法に通じてるとは思わなかったよ」
「俺だって、お前と居たら嫌でも兵法の一つや二つくらい覚えるぜ」
「ふふ、何でだろ……またレオと模擬戦闘を行うのに楽しみを感じてる」
「奇遇だな、俺もだ……今回は前と違って武器に殺傷能力が無いからな、冗談抜きで全力全開で勝負出来るからだろ」
「そうだね……この模擬戦闘を通じて、僕たちの最後の奥義を体得したいところだよ」
「ああ、そうだなっ」
レオは短い言葉で話しを区切ると、右手に構えた刀を横なぎに振るう。レオの左手の刀を受け流すような動作でハヤトは武器を引き、横なぎの斬撃を受け止め、そこから更に沈み込みながらレオの足元を狙うように斬撃を放つ。レオはそれを飛び上がって回避すると同時に左手の刀を切り上げ反撃するがハヤトは既に回避しており空振りに終わる。
「さすがハヤトだぜ……ここまで段取りしても一撃も入らないとは」
「レオこそ、僕の一撃を軽く避けといてよく言うよ……」
辺りでは未だに戦闘が続く音がしている。武器同士がぶつかる音、お互いの小隊の声……だがそんなものを気にしないように、レオとハヤトの周りだけは静かな雰囲気が漂っていた。
「最後の奥義やっと感覚が判ったよ……レオ、今回は僕が勝たせて貰うね」
「誰が、お前には絶対負けないからな……未完成だが見せてやるぜ、俺の最後の型『葬濤の型』をな……」
そういうとレオとハヤトは間合いを取る。それはお互いの刃がすぐに届く範囲……つまり「一足一刀の間合い」と言うものだ。
辺り一面の音が消えたような錯覚をする程静かな雰囲気の中、レオは左手の刀を逆手に持ち右手の刀を水平に構え上体を沈めこみ目を閉じる。ハヤトは長剣を中段に構え、右半身の体勢を取り、足に力を込める。数秒の硬直が数時間に感じれるような静かな時を経て、二人同時に動き出す。
「はぁぁぁぁぁぁぁあ」
レオは突撃すると同時に掛け声と共に左手に構えた逆手の刀と右手の刀を切り上げるが、ハヤトはそれを流れる様な体捌きで回避し次の動作に備える。
「流石ハヤトだな……いとも簡単に避けてくれるじゃないか、だがこの型は一段だけじゃないぜっ」
レオはそういうと右の刀を水平に薙ぐと同時に左手の刀を器用に空中で持ち替えると右手と同じ様に水平になぎ払うが、ハヤトは体を少し後ろに引き回避する。
「ヒヤヒヤさせる攻撃だね……それじゃあこっちもそろそろ本気で動こうかな」
そういうとハヤトは半身の状態からレオに向かって突撃し、沈み込みながら左袈裟に切り掛かる。更にその体勢を利用して一回転を伴い横なぎに長剣を振るう。身体の回転を利用した分速度が上がり回避するのが困難と見たレオは同じく身体の回転を利用して両手の刀を十字に構え防御する。「パァァァン」と辺りに響く接触音。
「ふっ、流石レオだね……この回転を加えた一撃まで受け止めるなんて」
「馬鹿言え、こっちだってギリギリだったんだぜ……一瞬の判断で逆回転を加えた防御法を思いつかなかったら負けてたからな、だがこれで完成しそうだぜ……最後の必勝型『葬濤の型』がな」
作者スペース
ハヤトとレオの打ち合いがメインww
模擬戦闘は指揮官同士の一騎打ちが面白いと思います←
前回コメントから、シホちゃんの地味な人気ww
コメント返信ー
謎の組長X様
人狼族の皆をケガさせないために必死にハヤトとレオが考えた結果ですww
KエルッK様
後で全体的な模擬戦闘も書いていきたいですけど、今回はレオとハヤトの打ち合いですww
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