「そういえばハヤトさん、妹は何処に居ますか?」
久々に故郷に帰ってきたシエは妹に会いたいらしく、ハヤトにシホの居場所を聞く。
「族長の家ですよ、彼女が今この里を治めてますから」
「私が居ない五年間で族長が変わってたなんて……初めて知りました。でもあの子が族長なんて……なんか姉として敗北した感じです」
シエは少し驚きと悲しみが混じったような複雑な表情を浮かべる。
「僕たちも今シホさんの元で厄介になってますから、良かったら一緒に行きましょう」
「姉の帰還にシエは絶対驚くだろうな、よしハヤトここは一計を案じて更に驚かせてやろう」
「珍しく意見が合ったねレオ、それじゃあ先にシホさんの家に戻ってて貰ってもいいかな」
「任せとけ」
レオはそう言うと歩く速度を早め帰路を急いだ。その背中を見送るシエは内心(団長と副団長ってやっぱり仲良いんだな)と思っていた。
「レオーこれ並べといてっ」
「了解した」
一足先に帰ったレオはシホと一緒に朝食の支度をしていた。すると家の扉がノックされる音が響いてきた。
「シホ、お客さんだぞ」
「判った、レオ後はお願いね」
シホはレオに調理を任せると玄関へ急ぐ。玄関へたどり着いたシホが扉を開けるとそこにはハヤトともう一人頭から外套を被った人が立っていた。
「おかえりハヤト、そちらの方は?」
「ああ、朝の修練してた時に出会ってね、族長の家まで案内してくれって頼まれたから連れてきてあげただけだよ」
「へー、こんな朝から私にお客さんなんて……珍しい事もあるね」
シホは外套を被った人をまじまじと見つめる。厨房で料理をしていたレオとハヤトはお互いに笑みを浮かべていた。
「シホ、とりあえずお客さんの外套を預かってあげて、この格好だとかなり熱気が篭ってるだろうし」
「そうする」
シホが頭に被っていた外套を外した瞬間の事だった。
「シホ、会いたかったよぉぉっ」
シエがシホに飛びかかり勢い余ってシホを押し倒す事態に発展する。
「お、おねえちゃん? なんでここにっ……じゃなくてなんで外套で顔を隠すような真似をしてたのよっ」
「それはー団長たちの作戦だからだよっ」
愛しの妹に頬ずりしながらシエはそう答える。
「ふーん……ハヤトとレオの……ねぇ」
シホはシエを少し避けると家に戻っていく。その直後厨房から叫び声が聞こえる。
「ちょ……シホそれは洒落にならな……」
「問答無用っ、私の刀の錆になりなさいっ」
「俺の双剣……って無い……だとっ」
「大丈夫だよ……レオならその手に持ってる調理用の包丁で私の剣撃全部受け流せるって信じてるから」
「いや待て待て待て……絶対無理だろっ」
「信じてるから……」
「ちょ……そんなに大きく振りかぶって……話せば判る……ぎゃぁぁぁぁぁっ」
「レオ……ご愁傷様君の供養は忘れないよ」
「まだ……死んで……ないから……な」
レオは今にも息絶えそうな声を振り絞りハヤトにツッコミを入れるが聞こえる訳もなかった……。
「二人共、少しは反省しなさいっ」
暫くして、ハヤトとレオはシホの前で正座をさせられていた。
「事あるごとに何か悪巧みしないでよホントに……」
「まあまあ、シホちゃん抑えて抑えて」
「おねえちゃんの顔に免じて今回は許してあげるけど……次やったら身ぐるみ剥いで帰らずの森に放り込むわよっ」
シホの怒りはシエの説得でどうにか治まったらしい、しかしレオとハヤトに恐怖を植え付けるには十分すぎる位だった。
「おねえちゃんもおねえちゃんで、帰ってくるなら一報入れてくれたらいいのに……」
「一報入れたかったんだけどね……国から逃げ出したから」
「それって……国王様の政策のせい?」
「そう……ハヤトさんとレオさんが居なくなったせいで、異民族への風当たりが強くなったから……王都内で死刑とも言わない残酷な殺し方で異民族を駆逐してたから……」
「許せない……国王様を操ってるヴァルスを絶対に倒して異民族の皆を……救ってみせる……」
シエから王国の近況を聞いたシホは手を強く握り締め、必ずヴァルスを倒すと心に誓った。
作者コメント
シエさん、心配性ww
相変わらずのレオのいじられ方でしたwww
いつも通りのコメント返信ー
KエルッK様
イメージはそんな感じで間違ってないと思いますよ、割とキャラ崩壊起こすキャラの予定ですww
謎の組長X様
姉妹ですww
真面目っていえば真面目ですよ、あと物凄い作者からしたら弄りやすいキャラですww
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