時刻は深夜2時になった頃。
静かな街の一角で爆発音が響き渡った。
警官「午前2時頃、スーパーで謎の爆発。大きな煙を上げる中、
その煙の中から2人、身長約170cmの男女がスーパーから出ていくのを
見たと報告があります。そして、彼らの手には多量の食物。
スーパーのドアを無理やり爆破でこじ開けて中の食物を奪ったとされています」
警官「ふっ。この一年よく起こる謎の事件の奴らか。今回こそは捕まえる」
パトカーに乗りながら2人の警官は話していた。
そのうちの1人は、どうやら今回は逃がさない確信があるようだ。
リース「アリア!この先の道は!?」
アリア「任せて。こっち!」
スーパーの商品を盗んだのは彼らである。
なぜ彼らはこんな手を使わないと食料を手に入れることができないのか?
そこには、1つのトラウマと、1つの憎しみから作られていた。
何も考えずに、2人は走り続ける。
随分長い距離を走ったにもかかわらず疲れている様子はなかった。
しかし―――、
警官「見つけたぞ!」
右方向、それも、すぐ真横から分厚い声が聞こえた。声と同時に、手に持っているライトをこちらに向けてきた。2人はそれが誰かは知らない。
知らないが何をされるかは知っている。
捕まえられて、死刑にされるだろう。
リース「チッ!アリア、飛ぶよ!」
アリアの返答を待つつもりはなかったのか、一方的にリースが叫んだ後、
2人は、突然姿を消した。何の前触れもなく、音を立てることもなく。
人間が住む世界、突然消えるなんてことはありえない話である。
が、ここにいた警官は何かを確信していた。
警官「――――、無駄だ。今回は必ず捕まえる」
2人は使ったのはテレポートの一種。テレポートと言ってもいろんな種類があるが、彼らは自身の体を飛ばすことができるようだ。
2人はスーパーから遠く離れた公園の中にまで飛んできたようだが、
警官「見つけたぞ!」
またも近くで聞こえる分厚い声。
リース「!?」
今度のリースは声を発さなかった。そして、彼らの姿はまた消える。
トンネルの中、テーマパークの入口、ヒトケのつかない道路。
どこに飛んでも待ち構えている。
アリア「ど、どうしてこんなに移動先が読まれているの!?」
リース「し、知るかよ!とりあえずあの穴の中に隠れよう!」
2人は近くにあったほら穴のような場所を見つけ、警官の視界から外れるように
クネクネ移動すると、ささっと穴の中へ入っていった。
彼らには、ヤツを巻けた、と思っているだろうが。
当のヤツは、見失った『フリ』をしていた。
もちろん、ほら穴の場所も確認済みだった。
警官「ったく、毎回事件起こす度に摩訶不思議なチカラを使って逃げるんだから・・・」
あきれていた。
警官「まぁ、あいつらは所詮異教のサルみたいなモノだったか。逃げるパターンが
いつも一緒だ。今回は対策を練って助かったな。」
目を見開く。
そして、腰にあるハンドガン『NightHawk』を手にとり、こう言った。
警官「異教のサル共。これだけは教えてやる。
人間を舐めるんじゃねえ」
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