メイプルストーリー

おしゃべり広場

キャラクター名:
Dora猫o
ワールド:
あずさ

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創作物語

空白の玉座 第10話「7歳」 日付:2014.12.21 20:28 表示回数:475

この世を束ねようとしている男エル=ベルトラン。
 彼はたった一人で世界を征服しようと試みる命知らずの将軍。「魔王」の名のとおり、悪魔を宿す魔剣デュラハンを背負い、幾つもの国を滅ぼし、支配してきた。軍など彼には必要ない、足手まといになるだけだった。
 勿論、そんな野蛮な軍人が世界を支配しようとするなどという噂は全世界に広まっているわけで、当然別の征服者たちの耳にも行き届いている。
 ディゼル=コーアリカもその内の一人であり、エル=ベルトランの脅威など歯牙にもかけずに悠々とした様子で金で出来た豪華な玉座に座っていた。
 彼は世界で最も領土が広い国コーアリカの王。しかもコーアリカだけを所有しているのではなく、その近隣に位置する国から遥か遠くの大規模な国を支配している圧倒的権力者なのだ。
「そろそろお前にも統治者としての役を賜おうと思うのだが・・・・・・」
 ディゼルは少々納得いかないような口ぶりをして、前方にいる幼い少女を見つめた。彼女の風貌はフワフワとした金色の髪が腰までかかっており、おっとりとした青色の瞳。虚ろになりつつある瞳孔にはディゼルではなく、その傍にいる甲冑を着た年老いた男が映っていた。
 老兵はディゼルに進言する。
「私、ロバート=ハット、失礼ながら申し上げます。姫はまだ7歳の若さ。お体も病弱で自立できる状態にございません。判断は少々お待ちした方がよろしいのではないのでしょうか」
 ロバートという老兵の鎧(正確には胸辺り)には星型の紋章が三つ描かれていた。この印はコーアリカ家に仕える騎士の象徴――三つとなれば騎士団長クラスのものだった。彼の場合は特別であって、名誉騎士団長と呼ばれる称号で、長年コーアリカ家に仕え、騎士団長として国を守り続けた証としての称号なのだ。故に彼はコーアリカ家に最も馴染み深い人物なのだ。
 ディゼルは少々考え込む。正直彼の予想としては――余裕。エル=ベルトランなど眼中にないし、仮に新手が現れようとも絶対的権力と、ロバートを筆頭とした騎士団は圧倒的強さを誇る。決して本丸であるコーアリカ国が滅びることはないだろうし、今この少女の将来を決断するのは早いのではないのだろうか。
「だが・・・・・・レティナにはヘレメリカを授けた。7歳でな。このコーアリカから遥か遠くの雪国をレティナは統治して管理しておる。体の弱いお前を遠くに出すわけにはいかない、そのような理由でレティナは遠出を申したのだ」
 レティナ=フォン=ヘレメリカ。本名、レティナ=コーアリカ。
 彼女はヘレメリカ国を任された姫。ディゼル=コーアリカの長女なのだ。
 一つの国を任された幼き姫は、妹の身を案じてわざわざ遠くの国の管理を申し出たのだ。妹が遠くの国に派遣されないように。
「フィアよ、お前の意思を尊重したい」
 ディゼルは玉座に座りながらフィアと呼ばれる幼い少女に運命の選択を託す。
「オーカスも7歳にして国を任せた。ハーネルは国の統治を拒み、自ら騎士になると志願した。・・・・・・代々コーアリカ家は世襲によって国を守ってきた。7歳で、だ。この運命はコーアリカとして生きていく以上変えられないのだ」
 フィアは顔を俯かせた。正直彼女はディゼルの言っていることをうまく理解できていないだろう。ただ、自分が7歳という年齢になった。国を出るか出ないか――そんな単純なことのように思っていた。
「私は・・・・・・」
 考えが纏まらずに何度も微かな息が漏れた。
「ディゼル様。どうか姫と談の機会をください」
 老兵ロバートが一歩前に歩み寄り、ディゼルに再び進言する。その大きな一歩を追いかけるように、フィアもテクテクと小走りし、ロバートの足をギュッと掴んで背後に隠れる。
 彼は最も信頼できる男、何とかしてくれるだろう、と少々不安ながらも「分かった」と意見を承諾した。

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更新するのが遅れてしまいました! 申し訳ないです。
実は、広場のログインボタンが押せないというバグが発生していまして・・・・・・。これからもスロースペースになると思いますが、しっかり更新はしていきたいと思います!

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