―――――――――それから数十分
ヒュン!ヒュン!オオオオオオオッッ!ブンッ!オラァッ!ザシュ!プギャー!ワギャー!
メルセ「・・・」
シネエエエエエ!ドカーン!ギャアアアアア!
ルミナ「えっと・・・」
モウイッパツブチコメ!ドーン!ドッカーン!
テーナ「ええ・・・」
ヨッシャー!ヒャクタイトーバツ!ハハハハハ!カエッタラセンショウパーティダナ!
全 員「私たちがしたことって・・・結局・・・」
ナイハ「ただの時間稼ぎですね。」
冷酷に伝えるナインハート。
彼はエレヴの宰相として王を・・・この場合は女王だが、支えてきた縁の下の力持ちとも言える存在だ。その過程で、様々な困難に直面してきたのだろう。その顔には、若さとは裏腹に疲れた表情が見て取れる。こんな冷淡な性格になったのも無理はない。
そう考えたテーナは、愚痴るのも諦めて体の治癒に徹することにした。
テーナ(マナエリクサーが足りない・・・)
魔法使いである彼女にとっては、MPが戦闘において重要な値となる。そんな彼女を支える水薬〈マナエリクサー〉はMPを300回復させる薬で、初心者からベテランまでの幅広い支持を受ける薬品だ。この水薬の値段は280メル。なかなか財布に厳しい値段である。
彼女たちは戦闘で多くの傷を負っていた。それは〈英雄〉と呼ばれた2人にも同じことで、弱体化された体には厳しいものがある。
テーナ(自分の力が足りないのが、全ての原因だ。)
彼女は自分の弱さを理解していた。
だからこそ、強くならなければならない。
彼女はそう考えながら、自分の回復に努めた。
ルミナ(うう・・・頭が痛い)
〈英雄〉の彼女たちは、暗黒の魔法使いの封印と引き換えに、様々なものを失った。
〈戦士〉は自らの圧倒的な武器を。
〈弓使い〉は自らの民を。
二人の〈魔法使い〉のうち一人は自分の命を、そしてもう一人は純白な心を。
〈盗賊〉は自らの愛する人を。
そして、全員が大事な記憶の一部を欠落させていたのだ。
ルミナ(これは・・・?)
ルミナスの頭の中に流れ込む記憶。それはまだ欠けたものだが、少しずつ彼女の記憶を蘇らせていく。
―――――欠落した記憶
???「・・・は封印・・・た!・・・が・・・を・・・失って・・・」
???「・・・ユ・・・」
そこまでで彼女の記憶は途絶えた。
ルミナ(ユ・・・?なにか思い出るかもしれないが・・・)
しかし、これ以上は何も思い浮かばない。
ルミナ(仕方がない)
彼女はそれ以上考えるのをやめ、テーナと同じように回復に専念し始めた。
一方、メルセデスは一人思案に耽っていた。
メルセ(不甲斐ない・・・)
英雄と呼ばれた我々がこうも無力だとは。そう思い知らされた。
目覚めた時から薄々感じていた不安。
眠る人々。
大きく変わった世界。
そして、力と記憶の欠落。
メルセ(また、鍛え直さなければならない)
彼女はそう心に誓った。
森の中に風が吹く。涼しくて、でもどこか物寂しい感じのする風だ。
アランとは、また後で話をすることにした。
今はこのモンスターの異常発生の原因を突き止めねば。
そう考えた3人は、【シグナス騎士団遠征軍総司令】であるナインハートのもとに向かい、この件に関して聞くことを試みた。すると、今のところ考えられるのは「闇龍城」の存在だ、ということだった。
「闇龍城」とは、エリニア奥地にある城のことだ。
その実態は謎に包まれているが、この島に影響を及ぼしていることだけは確かなようだ。
ナインハートは、この「闇龍城」への遠征を計画していると聞く。それならば、彼女たちに残された選択はひとつだった。
テーナ「もちろん・・・」
ルミナ「ええ。」
メルセ「私たちにも同行させてください。」
三人の新たなる旅路の始まりであった。
―――――次回予告
「闇龍城」への攻勢を決意した三人、一方その頃トイとファントムは、占領された街である組織に接触する。自由と開放を謳い、敵の打倒を目指すその組織の名は・・・
次回 とあるメイプルの冒険者 第二章第九話 「抵抗者たち」
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