メイプルストーリー

おしゃべり広場

キャラクター名:
さとうえいき
ワールド:
あずさ

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創作物語

壮大なメイプルストーリーのお話 オルビス編17ページ目 日付:2015.09.27 14:32 表示回数:448

妖精から黒い手袋を手渡され、早速嵌めてみる。
「うおっ」
瞬間、手袋は何かの力を得た様に怪しく光る。
「へえ、こうなるんだ」
目の前にいる妖精が呟いた。思わず目線を手袋から彼女の顔へ移す。こうなる事を知らないで着けさせたのか。
少しすると、光は消えた。
「どんな感じ?」
そう聞かれても、ただの手袋とあまり変わらない。ただ、着け心地が半端なく良い。
素直にそう答えると、
「そう。じゃあちょっと一回外してみて」
そう言って立ち上がり、刃物を探し始める。
私は先程見付けたナイフの場所を教えて、手袋を外した。取る際は何も起きなかった。
「これね」
ナイフの入ったケースを両手で持ちながら、彼女は元の位置に戻る。
「本当に防刃製かどうか確かめるわ。ちょっとダンボールの上に置いて」
言われた通りにして、彼女はナイフを手袋に突き立てた。
無傷。見たところ、傷一つ付いていない。
「もっかい」
今度は掛け声と共に突き立て引き裂く様に動かす。
「おー、防刃は本当みたいね」
これまた傷一つついていなさそうなので、今度は手袋を嵌めて確認する。
先程と同じ様に光ったが、少しして消えた。
「うん、大丈夫みたいです」
「おー、じゃあちょっとやってみよっか」
「へ? 何を?」
「これよ!」
ていっ!という掛け声と共に、私の右手に嵌められている手袋へナイフを振り下ろす。
「ひっ!」
少しだけ衝撃を肌で感じて、思わず目を瞑った。
「ふむ、流石ね。これなら多少は問題なさそう」
恐る恐る目を開けると、血は出ていない様だった。痛みも無い。手袋は相変わらず無傷で、素直に私の手を覆っていた。
余りの出来事に冷や汗を欠いて絶句する。
「ごめんね。ちょっと試したかったのよ」
ナイフをケースにしまいながら彼女は言う。
「し、死ぬかと思いました」
「死にゃあしないわよ、最悪右手が無くなるだけ」
「重症じゃないですか」
「最初のテストで刃物が効かないと分かってやったのよ、へーきへーき。さて、これお詫びにあげるわ」
何本かナイフが入ったケースを手渡される。ここまで来ると受け取る以外に手段が無さそうなので、ありがたく頂く。
グリップの部分が革で出来ていて、刃先が良く切れそうな、良く出来たナイフの様だった。魔法石の明かりを反射し、刃が光り輝いている。デザインがカッコ良いのが、少し嬉しい。状態はすこぶる良く、新品同様で普通に店で売られていておかしくないレベルだった。
「さて、部屋を出ましょう。片付けはしなくていいわ、どうせ使わないしね」
それが今回の様な出来事を招いたのではないだろうか。
そう思ったが、口には出さなかった。
右ポケットに手袋を畳んで入れて、少しだけ懐かしい様な感じがする部屋を歩きながら、ナイフケースを両手で運ぶ。
部屋を出て最後に室内を見た後、奥の壁に掛けられた、一際大きい刀剣と目が合う。 魔法石の明かりが消えると、その刀剣は闇へと消えた。

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