メイプルストーリー

おしゃべり広場

キャラクター名:
面倒くせええ
ワールド:
さくら

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創作物語

貧乏神が嫌いだったのだ 日付:2015.10.18 22:21 表示回数:567

学校のチャイムで目を覚ます。
次の授業は移動教室だ。

面倒だと頭を掻き毟る。クラスから出ようとして気付いた。胸ポケットに名札がない。

田中と書かれた名札を探している。そしたら、後ろから声がした。

「みんな言ってるぞ。どうしたんだー」友人が声をあげた。

鞄の奥に差し込まれていた。俺はため息をついて取り出した。
胸ポケットに安全ピンを這わせる。

「遅れて悪い。それなら行こうか」

「いや、別にいいよ」

おかしい。この人はそんな気遣いも出来ない筈だ。
不審に思うが背後にいる人間で納得させられた。
逆の立場でも俺はそうするだろう。

常日頃、焦っていて真剣な人間の安藤(あんどう)がいた。

安藤は、凡人と比較してやせ細っている。身長も低い。
ニヤニヤしてる事から皆が避けていた。なのに、誰かの後ろについてくる。
俺達は『貧乏神』だと陰口で笑っていた。

今回の目的は、また俺たちか
コイツといると話に熱中できない。

誰も強くいう事が出来ない。
なぜなら、一歩間違えれば明日は我が身だからだ。

放課後になって、俺は帰宅しようとする。

「… …あっ、そうか」

抜け切れない日常が襲う。俺は俺が嫌いだ。

なぜ、帰宅が孤立しているかというと、クラスの人気者と喧嘩をしたのだ。

『コイツって、中学の時にさ引っ越してきたんだぜ。時期も中途半端で気になってたんだよ。
これは、俺の友達と話して、それで出た結論なんだけど前の学校では虐められてたのか?』

その瞬間、俺は踵を返した。
『なんだよ、つれないな』後ろから笑い声が聞こえていた。
俺が動揺してる理由は勝手に推測されたわけじゃなく、それが当たってるからだ。
それ以降、人々の交流は減っている。

「あの…」振り返ると貧乏神が申し訳なさそうに立っていた。

「何だあ?」

俺は敵意剥き出しで睨んだ。安藤は怯んでいるが気にしない。

俺に声をかけてきた。
思考を張り巡らして行くうち、クラスの人気者とのイザコザが思い当たった。
不安そうな顔をしてて、俺を見てた気がする。
大体の検討はつく、お節介を焼くつもりなんだろう。理由は俺だったらそうするからだ。

「急に声かけてきて、何?」

声が止まらない。
安藤は黙って聞いていた。俯いていて表情が見えない。しかし、罪悪感は沸かなかった。

「そうやって善意振りまくのが友達ってわけ? 話したこともないやつが手を焼くの? ひっつき虫風情が目障りなんだよ」

「… …ごめん」

「だからぁ、謝って欲しいんじゃなくてさあ!」

安藤は耐えきれない様子で、何かを押し付けてきた。
それは名札だった。

そのまま、振り返ることなく立ち去っていった。
瞳は潤んでいたことを覚えている。それ以降、付きまとうことはなかった。

「ああ、確かにクラスで名札を見つけてな。お前に渡そうとしたが既に予備を引き取ってた。
だから放置していたんだが、安藤が届けようってうるさくてな」

そしたらなんて言ったと思う?担任が嬉しそうに語る。
名札の件を聞きに来た。そしたら急に話し出した。

「友達だから、ちゃんとしてあげたい。だってさ、教師やってて良かった。ちゃんと大切にするんだぞ?」

俺は無言で職員室を出た。

名札をただ渡したかったんだ。
俺は、クラスの人気者と同じで推測で行動していた。
俺は、言葉を発せないまま呆然と立ち尽くしていた。

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