横浜に住む四肢時島(ししじしま)くんとはなんにも関係ないこの僕は実を言うと異世界に行ったりしていない。
アホらしいかもしれないけれど、実際そう思っていた時分がありました。
「おい、心紅。行こうぜ」
だけど朝起きたら、荒れ果てて枯れた草しかない土地――荒野の中で寝ていた(しかしベッドの上で寝ていたのは嬉しい限りだ)。
そして僕は今、心紅(しんく)と呼ばれている。春雨 閑南(はるさめ かんなん)という本名を忘れていた僕に、今しがた僕を心紅を読んだヤツがつけてくれた。しかし本当に名前を忘れていたのはまあ、記憶が混濁していたから致し方ないのだが、それでも自分が一時男か女かもわかっていなかったのは驚いた。
「わかったよ……シシジシマ」
偶然か、僕の面倒をよく見てくれた上に名前までくれたそいつの名前は……シシジシマという名前だった。
いや、四肢時島くんなんて僕の知らない人なんだけれど。もっと言うと僕の空想上の人物なのだけれど。
しかし、今僕は彼と……いや、“彼女”と二重スパイをしている。
そう、シシジシマは女だった。彼女は少女と女性のちょうど中間ぐらい年齢層みたいだ。しかし今はあまり関係ないので彼女について言及することは、今は避けよう。
二重スパイ――どうも僕と彼女は『ヨコハマカイヅカ』というヘンテコな、それでいて本気で悪を打ち倒そうとしている組織に属している。
なんとこの世界では銃は珍しく、非常に状況を有利に運べる代物となっていた。映画で見慣れていた僕は唖然としていたが……。しかもその銃を僕と彼女――シシジシマは所有している。そしてそれは『ヨコハマカイヅカ』が支給したものではなく、僕達がスパイとして潜り込んでいる『コヨーテ盗賊団』の支給品だ。もちろん『コヨーテ盗賊団』は盗賊団――ゆえに僕が持っているこの銃もどこからか奪われたものだ。
因みに『魔法』というものの存在を僕は期待したのだけれど、実際存在するにはするが、殆どのものが使えない上に、ショボイ効果しかないらしい。これには少しだけがっかりした。
しかし僕とシシジシマ(本名かどうか定かではない)の冒険活劇は続くのだろうか。
____________________________________________________
どうも。駄文よりも酷い堕落文を書きました。
さて、物語を続けるかどうかは僕のやる気と、見たい人がいるかどうかですね。
まあ、いないでしょうが。
|