メイプルストーリー

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キャラクター名:
空きみ
ワールド:
あずさ

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創作物語

運命の手紙 episode_1 日付:2016.02.09 20:04 表示回数:592

決行の時がきた。僕は流れ星に何度も祈った。
運命の出会いが叶いますようにと。

数多ある都市伝説の一つ。通称「運命の手紙」
ある条件のもと手紙を投函すると、それが運命の人に届くという。

簡単な条件なら試す人間もいるかもしれないが、
厳しい条件をクリアしてまで試みるやつはいないだろう。僕を除いては。

横浜にあるコンビニ店。店員は店主ひとりのみ。
ここで切手を買うこと。それが条件。

しかし普通に切手を買うだけでは奇跡は起こらない。
すべて「ギザ十」で支払わなければならないのだ。
「ギザ十」とは1951年から8年間だけ発行された十円玉の俗名。
十円玉の縁にギザギザの溝があることから、そう呼ばれる。

切手が1枚82円、返信用も合わせて2枚。計164円。
すべて「ギザ十」で支払うには17枚必要となる。
僕は「ギザ十」を集めるのに半年も掛かってしまった。

「82円切手2枚ください」
17枚のギザ十を店主に手渡した。
店主は十円玉を1枚1枚を丁寧に確認し、
細い目で僕を一瞥したあと、
後ろの棚のクリアファイルから2枚の切手を渡してくれた。
普通切手は花の絵柄だが店主からもらった切手には流れ星が描かれていた。

条件は満たされた。

僕は封筒に流れ星の絵柄の切手を貼り、あて先には自分の名前を書き
手紙と返信用の切手を同封して深夜の郵便ポストに投函した。
あれほど想いを巡らしたのに手紙の内容は平凡なものとなった。

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運命の人へ
今日は2011年7月9日。晴天です。
僕の名前は斉藤祐樹と言います。高校2年16歳です。
神奈川県の藤沢市に住んでいます。

突然のお手紙で驚かれたでしょうか。
これは悪戯ではありません。だから最後まで読んでもらえますか。

僕はあなたのことを半年間、ずっと考えていました。
この手紙は未来に届いているのでしょうか、それとも過去でしょうか。
あなたは学生でしょうか、それと社会人なのでしょうか。
もしかするともう恋人はいるのでしょうか。

質問ばかりでごめんなさい。
でも、もしあなたが僕の運命の人なら返事をください。
そしてその時は必ず、貴女を愛すると誓います。

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投函してからの数日間は勉強も手につかず、
学校が終わると一目散に帰宅し返事が届いているか確認した。
そして投函から一週間。それは夕方の配達で届いた。

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運命の方へ
昨晩、手紙が届きました。あの都市伝説は本当なの?
ドッキリなら早く言ってください。
そうじゃなきゃ私は絶対に信じてしまうから。

私は千佳と言います。年齢はまだ内緒です。
東京に住んでいます。神奈川とは隣ですね。
そして今日は2010年6月20日。貴方とは1年の距離。
なんだか不思議ですね。

貴方の言葉とても嬉しかったです。そして私も誓います。
貴方が運命の人なら私も必ず愛すると。

江の島は藤沢市にあるのですね。調べました。

貴方に会いたい。
2011年8月10日午後2時。江の島大橋の上で。
1年以上先ですが必ず行きます。

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そして待ちに待った約束の日。
あの手紙を何度読み返しただろう。
僕は江の島大橋の上にいる。時間まであと30分。

高まる鼓動とは裏腹に
僕は永遠の時間を感じていた。

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