最後に投稿したのが1年以上前だなんてそんな馬鹿……アレ?
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奇抜なファッション?ピンクのパッション!甘く見てると痛い目見るよ?これでも私は竜の血を引く女の子!
歌って踊れて戦えるキュートなアイドル、その名もエンジェリックバスター!悪い事は許しません、正義の心と皆の声が原動力です。
さぁ、次にハートを撃ち抜かれたいのは一体だぁれ?
【えんじぇりっくばっすたーしゅっつどー!】
混浴の湯気に霞む人影。誰かと思いきや、黒髪の彼だった。
身内ならばまぁいいかと声をかけて浸かろうとすれば、視界に飛び込んできたのは湯の中で奔放に揺らめく彼の長い髪。
「貴方駄目じゃないの、髪はちゃんと纏め上げて入らなきゃ」
彼は忠告に首を傾げる。私は仕方なく、説明しながら結んでやった。
【ほんとに無頓着なんだから/メルセデスと隠月】
昨晩また一つ禁忌を犯した。それでも尚、真理には一向に近付けない。徹夜で霞んだ頭を覚まそうと洗面台に向かえば、鏡に映るは信じられぬ姿だった。
「これ、は…」
異常に赤く爛れた瞳。そこにいるのは本当に自分なのかと鏡に手を伸ばせば、その指先も黒く染まっていて。
一瞬で、恐怖が己を塗り潰した。
【白が黒に変わる予兆/白い魔法使い】
地中へ隠れていたクロガネの巨体が地面を突き上げる瞬間、衝撃で洞窟は激しく揺れる。天井は崩れ、一部が凶器となって男へと降り注ぐ。
彼は寸でで後ろへ滑り避け、再び地中へ潜もうとする竜を素早く幻獣の爪で掻いた。
「私から逃げられるとでも?」
男の眼前には絡め取られた、竜の魂の片割れ。
【剥魂炎打とベルルム/隠月】
息を、吐く。白く、消える。
雪が、触れる。淡く、溶ける。
大気は、凍てつき。熱は、奪われ。頭が、霞んで。このまま、私は、埋もれるのだろうか、大地に。思い出を詰め込んだ、この箱の傍らで眠れば、私も思い出の一部と、なり得るのだろうか。
瞼を、閉じて。冷たさは、どこかへ。痛みも、どこかへ。
【思い出の眠るエルナスで眠る/隠月】
「デーモン、このマステマという猫は本当に猫なのか?」
ゼノンの問いに私は固まった。マステマが魔族である事がバレたら、私の信用問題に関わる。
冷や汗が垂れる中、彼は言葉を続ける。
「私の知っている猫は喋ったり、魔法が使えたり、二足歩行だったり…」
「…ゼノン、ちょっと一緒に図書館行こうか」
【それはファンシーや猫仙人だ/デーモンとゼノン】
私はフリードが妬ましかった。偉大な竜の王を従える器、オーロラの英知を凌駕する頭脳。そして、どちらも持つに相応しい魔力。それは同じ魔法使いとして、時折自分が惨めになる程だった。
我々の前に立つ姿もとても眩く、自分の光が劣って見える。手を伸ばしても決して届かない、彼は太陽のようだった。
【尊敬と羨望/ルミナスとフリード】
俺は金持ちが嫌いだった。特に、鼻にかけるような金持ちが。
ある日、俺の屋敷に盗みが入った。前から予告が入っていた馬鹿馬鹿しいもので、こんな目立ちたがりで間抜けな泥棒、すぐに捕まると思っていた。
けれどそんな奴にまんまと盗まれて、俺の大嫌いな金持ちが今まで見た事もない顔で悔しがっていて。その顔を見た時胸の内が、とても清々しくなったのを感じた。
俺は犯行予告のカードを今一度握りしめる。そこに記されている名前を、紫の瞳に映し込む。
「怪盗、レイヴン…」
会って、みたい。
【『怪盗ファントム』のきっかけ/ファントム】
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