「人魚狩り?」
「・・・ああ」
暫くして、キジャがリュウとカンナの前に戻ってきた。
「・・・一人残して拷問して聞き出したが、ここら一帯では人魚が現れるらしい。連中はその人魚を狩るついでに俺達も襲おうとしていたそうだ」
「で、その拷問した生き残りはどうした?」
「・・・(土に)還った」
それはもう植物の美味しい栄養源となりました。
「しかし、どうも俺達は面倒なところに流れ着いたみたいだな。これからどうする?」
「・・・兎に角、スイコが帰るのを待つしかない」
「・・・還ればもっと良いがな」
うんうん、とカンナとキジャが深く頷く。そこへ、
「・・・あー、ダルッ」
衣服を乾かし終えたヤヨイが出てきた。しかし身体はまだふらついている。
「ヤヨイ、大丈夫なのか?」
「なんとかね。いつまでも寝たきりなんて出来ないし」
ヤヨイはリュウの肩を借りて隣に凭れ掛かる。
続いてカザミ、ミヤビ、サクノもやって来た。
「姫、もうよろしいんですか?」
「うん。私は平気。ただミライが・・・」
ミライはまだショックから立ち直れず、小屋の隅で小さくなっている。ミウは付き添いとして残っている。
「まったくアイツは、何やってんだか」
「ほっとけ。使い物にならないなら捨てれば良い」
「カンナ、あなたいつになく酷い事言うわね・・・」
間なの冷たい態度にヤヨイはげんなりとした。
とりあえず、じっとしていても意味が無いので、リュウ達は周辺の捜索を開始した。のだが、
「はぁ、潮風が気持ちいいわぁ」
海の景色を楽しんでいるサクノを見ていると、どうも緊張感が薄れて和んでしまう。
岩場辺りを楽しそうに歩くサクノと、後ろにリュウ達が付いて来る。
「おいサクノ、景色を楽しむのは良いが、間違っても海に落ちるなよ」
「分かってるわよカンナ。私だってもう子供じゃないんだか・・・」
ツルッ
「ら?」
何かが的中したのか、サクノが足を滑らせて、海に真っ逆さま・・・
シュッ!
かと思ったら、素早い動きで黒い影がサクノを引っ張り、優しく押して海に落ちないようにした。
しかし、その反動によって、黒い影は海へと真っ逆さま。
――そう。ヤヨイが。
ドッポォンッ!
「何やっとんじゃお前はぁ!?」
急いでリュウが、泳げずただ沈んでいくヤヨイを救助した。
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