メイプルストーリー

おしゃべり広場

キャラクター名:
小夜啼鳥恋詩
ワールド:
ゆかり

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創作物語

ポテ・ポテコの異世界就活生活#3 「イチのポテコ」 日付:2018.02.10 15:38 表示回数:303

ポテ・ポテコは人生一の窮地に立たされていた。
謎の彼女にいきなり連れ去られた場所は、ヘネシス学園といわれるらしい学園。
そして、その学園内の弓道場のような場所に俺は立たされている。
手には立派な学園の紋章らしきものが象られている弓。50mほど先を見ると高速で動きを続ける丸い的。
そしてポテコの後ろには大勢の観衆が期待の眼差しをこちらに向けている。
体の穴という穴から大量の汗が噴き出る。悪臭が鼻をつく。
おそらく、俺のミッションは一つ。あの遥か遠くで動きを続ける的目掛けて矢を放つだけ。

もちろん俺にそんな弓の技術なんてものはない。
触ったことだってない。そして仕事も勉強も恋愛はもちろん、それに加えてうんどうしんけいだって人に褒められた経験はない。
まぁ中学、高校時代と俺の通信簿にある体育の項目にはきれいに「1」が並んでいた。
イチのポテコなのだ。それで俺のうんどうしんけいの悪さは伝わるだろう。

「君なら大丈夫だろうが、大勢の観衆の前で学園の恥を晒すなんてことのないようにな」
後方からふと声がする。
薄緑がかった色の腰まで伸びた髪、金色輝くアクセサリーがつけられたこの女性は
俺の1mほど後方で俺に熱い視線を向けながら腕を組み仁王立ちしている。
年齢は30近くといった所だろうか。
この女性は謎の彼女によると、この学園の学園長らしい。

今の状況からわかることは3つ。
観衆からの期待の眼差し、そして学園長から放たれる熱いプレッシャーから察すると、なぜか俺は学園の代表として、
この演武会で芸を披露することになっているらしい。
そして失敗なんてしようものなら学園の評価を落とすことにつながるということ。それだけ重大なポジションらしい。
つまり、俺が成功させることは当たり前のような風潮になっているらしい。

もちろんいきなりこんな場所に連れられてきて、いきなり使ったこともない弓を渡されて、いきなり芸を披露しろなんて
言われても無理なものは無理なのである。

――――――いやまてよ?

ここは異世界だぞ?異世界ファンタジーだぞ?
つまり俺にも爆発的な能力が備わっているのではないか?ヒロインイベントだってちゃんと起きたんだ。
そうに決まっている!
つまり、平凡な日常を送っていた俺が、なんやかんやでこの世界を救うため、新たな力を授けられてここに召喚されたっていうことではないか!!?
うおおおおおお!!

つまり、俺が得た力は「弓」!
なんか地味な感じがするが、まぁいいだろう!つまり俺はこの「弓」の力でこのメイプルワールドを救うために召喚されたんだ!
そう思っていたら力が湧き出てくる感じがするぜ!

俺は後方に立つ、学園長に向けて不適な笑みを向けた。
学園長は一瞬気味の悪そうな表情をしていたように見えたが気のせいだろう。

フッ。ここから俺の伝説が始まるのか……。

俺は再び遥か遠くで動き続ける、的に視線を向けた。
そしてゆっくり弓を向け、狙いを定め、ゆっくり弦を弾き絞る……。
昔見ていたアニメで弓使いのキャラが矢を放つときのシーンの記憶を呼び覚まし、なぞるように見よう見まねでポーズをとる。

そして俺は、自分の新たな力を歓迎するよう呟いた。
今ここに目覚めろ……ウィンドポテコストリーム!!!

俺は力強く矢を放った!


つづく

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