カンナ達と別れてから、ミヤビとカザミは海辺を散策していた。
「あーあ、面倒くさー」
「そう言うな。少しは我慢しなくては身が持たんぞ」
「それは嫌ってくらい分かってるけどさー・・・ねえカザミ、あそこの茂みで」
「断る」
「あぁああーんっ!? 何かゾクゾクキター!」
カザミの即答に何故かミヤビは顔を赤くして全身モジモジした。
「・・・お主、変わらんな。というか悪化しとるの」
今更な事を呟くカザミであった。
少し歩いて、海辺の近くに魚屋を見つけた。
「ねえカザミ、ここで食料調達しとく?」
「ふむ、それは良いな」
と、二人が向かおうとした時だった。
「あ、あああ・・・」
岸の方から誰かの呻く声が聞こえた。
声の主は年配の男の者だった。彼の足元には釣竿や田茂といった釣りに使う道具が散乱している。
「おじいちゃーん、どうしたのー?」
二人が近寄って話し掛けると、男は顔を向けた。
「そ、それが大変なんだよ。青い髪の兄ちゃんが・・・」
「青い髪?」
「の兄ちゃん?」
二人はその人物に心当たりがあり、顔を見合わせた。
「ご老人、何かあったのか?」
「い、いや、オラあそこの魚屋やってんだけどよぉ、釣りの道具片付けてたら海賊共に絡まれてよぉ、困ってたら青い髪の兄ちゃんが割って助けてくれたんだぁ」
「ふむふむ、それで?」
「でよぉ、海賊共と売り言葉に買い言葉で、兄ちゃんを海賊船の中に入れやがったんだ。ありゃ絶対殺されるぞ」
ミヤビが産みを見渡しても、漁船が一隻あるだけで、それ以外の船は見当たらない。
「海賊船って、そんなの何処にも・・・」
「あ、いやぁ、その海賊船、潜水艦仕様でなぁ、今頃海ン中だぁ」
「「え?」」
二人がポカンとしていると、
――ザッパァァァンッ!
突然、海の中から何か巨大なものが浮上してきた。
「な、何だぁっ!?」
男が驚いて声を上げた。
浮上したのは、
「あ、ありゃさっき言ってた海賊船だぁっ!?」
正確には、海賊船だった、が正しい。
巨大な潜水艦の様な作りの海賊船は、まるで刃物で斬った様な割れ口で残骸と化していた。
一体、誰が斬ったのか。
「・・・て、てめぇ、よくも俺達の船を・・・!」
姿が見えたのは、この海賊船の船長と思しき男とそのクルー達、そして、
「・・・だから言っただろ。俺を入れたら後悔するって」
漆黒に輝く刀を振り翳した青い髪の青年。
「ねえカザミ。あいつ、放って置いて良かったんじゃない?」
「そ、そうだな・・・」
そう、リュウである。
ちなみに、この後海賊団はリュウ、ミヤビ、カザミの三人によって綺麗に解体された。
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