翌朝、イホンリは自分の部屋にある財宝を眺めていた。
昨日、アリアントの王宮から盗んできた宝石たちを自慢の宝物置き場に置く。
部屋の中は、一面宝物や金品で埋め尽くされていた。
この世にある宝が、全てこの部屋にあるのではないかと錯覚するほどであった。
イホンリは部屋に入り、いくつかの宝物を触っていたが、一つの宝石に目を留める。
それは紅く光る手のひらサイズの宝石であった。
丁度昨日アリアントから盗んできた宝石であった。
「きれいだ……」
今まで何千もの宝石を見てきたイホンリであったが、この紅い宝石に抱く印象は
今まで味わったことがないほどであった。
紅く眩い輝く光を放つ宝石は、一面を宝石で埋め尽くすこの部屋でも異彩を放っていた。
宝石を手に持ち、見とれているその瞬間であった。
宝石が紅い光を放ち、イホンリを瞬く間に包み込んだ。
イホンリは驚く間もなく、光に包まれた。
それは一瞬であった。
イホンリが突然の光に思わず目をつむり、次に目を開けた瞬間。
イホンリの眼に映る光景は自分が全く知らない場所であった。
周りを見渡すとたくさんの人が同じような服装に身を包み、席に座り、前方を見ていた。
それは自分も例外ではなく、全く知らない場所で、席に座っていたのだ。
イホンリはその光景に一つの覚えがあった。
「ここは、学校……?」
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