―ここは何処なのだろう。僕はどうしてここに来たんだ。
…そうか、僕は死んだんだっけ。血が流れる温かいこの体で、僕は死んだんだ。
何処からか来た強い子が僕をゲリーメルの手から救ってくれたんだ。
オルカ。最後に君と話せて本当に良かった。
君は君らしく生きてほしい。どうか僕の所に来ようとしないでほしい…。
1歩、また1歩とゆっくり歩みだした僕は、いつの間にか見慣れた人物の前にいた。
その人物は僕を見た時一瞬驚いたようだったがすぐににっこりと笑った。
「…お久しぶりです、スウ」
「…エレヴの女王…」
いつの日だったか、僕が殺した人。
その後英雄とかいうメンバーの1人が僕に復讐しに来たっけ。
「…あなたもこちら側に来てしまったのですね…」
悲しそうな笑みを浮かべる女王。
こちら側という限り、やはりここは死後の世界とみて問題ないようだ。
「…どうして」
「え?」
「どうしてそんな顔をするんだ?僕が死んでも君は何も変わらないのに」
女王はまた驚いた顔をし、すぐにまた悲しげな表情へと切り替わった。それも今度は笑顔が消えて。
本当に、人間とは面白い。表情を変えることができるし、姿は何1つ同じでないし、心があって温かい。
僕はこの生命体が好きになってしまったんだ。
「…私はずっとここからメイプルワールドを覗いていました。英雄という者たちも、それ以外の者たちも。そして、貴方も。…貴方は相当大変な目に遭われました。辛かったでしょう。大変でしたね…。」
…なぜ、この人は僕の事を想っているんだろう。他人事なのに自分の事のように考えて。僕も経験した、温かいものを流して。
「…でも、これからは私がそうはさせません。良かったら…これから一緒に過ごしませんか?これからは…楽しく過ごしいただきたいのです、この地で…。」
「どうしてそんなに僕のことを考えているんだ?そんなことしてもなんの得にもならないと思うけど…。それに僕は君を殺したんだ、そんな人の事をどうして考えるのかわからない。」
するとその人は黙り込んだ。数秒考えている仕草をして、こう言った。
「皆さんを幸せにしたいからです。殺したとかそういうのは関係ないんです。こんな私が言える事ではありませんが…皆さんが幸せに過ごしていれば、それは私自身の幸せにもなるのです…本当、変な人ですよね。」
えへへ…と笑った彼女のその瞳は、美しく輝いていた。誰にも侵食されない、その意志。
僕はゲリーメルのせいで、あまりオルカと一緒に過ごせなかった。自分のしたいことも出来なかった。もう自分の意志などこの世の何処にも存在することは出来ない。そう思っていた。
けれど、ここに自分の意志という意志を貫き通している人が居た。この世界では何も出来ないかもしれないというのに、それでも諦めていない意志があった。
―僕は、もっとこの体で自由に生きてみたい。
オルカと、楽しいと思える事をして、一緒に生きてみたい。
君もいつかこの地に来るときが来るのか。来ないかもしれない。…いや、来ると信じるんだ。僕は何時までも待っている。君とまた会える日まで、彼女みたいにこの意志を貫き通す。
初めて、人間の姿で本当の自分らしい事が出来た気がする。
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皆様はじめまして!
初めての創作物語投稿です!
今回はブロックバスターブラックヘヴンのその後の物語を書いてみました!
スウが亡くなってしまって自分自身ものすごく悲しくてずっと泣きっぱなしでした()
スウがもし死後の世界という所に来たらどうなるのか。ちょっと想像して書いてみました。
自分自身ブラックヘヴンで悲しい悲しいで辛くなったので少しでもスウに良い事があれば…!と思い、楽しく終わらせました(?)
ところでスウの口調がわからない。なんか違う。違う。違うんだが(白目)
文章力が壊滅的な自分ですがこれからたまに投稿しようと思うので見ていただければ幸いです!
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