海賊の解体を終えたリュウ達は魚屋の主人からお礼として幾つかの魚を分けてもらい、カンナ達の所へと戻ってきた。
「遅い」
「悪い悪い。ちょっと色々あってな。土産に魚あるぞ」
ドサッと魚の入った網を下ろす。
「で、これから姫が友達になったっていう人魚の家に行くのか」
「その事だが、今日はもう遅いから、明日行く事になった」
気が付けば、既に日が沈もうとしている時間帯だった。サクノが人魚と見つめ合っているせいでかなりの時間が経ってしまったのだ。
「じゃあ今晩はあの小屋で泊まりか?」
「そうなるな。それに、キジャが言うにはヤヨイが立ち直るのにもう少し時間がかかる上にミライもまだ落ち込んだままだそうだ。あの馬鹿共、さっさと消すべきだったか」
「ミライは兎も角、ヤヨイの方は本当に悪いな・・・」
結局、その日は土産の魚で夕食にして、交代で見張りをしながら一夜を過ごした。
尚、スイコは未だ戻らず、ミヤビがカザミに夜這いを仕掛けようとして返り討ち遭っていた。
翌朝。
カンナ達は昨日サクノと人魚が別れた所へと戻ってきた。
「で、サクノ。本当に迎えが来るのか?」
「うん。キラホシちゃんがそう言ってたわ」
「キラホシ?・・・ああ、昨日の人魚の事か?」
「うん」
サクノが言うには、自分達が自力で海中を潜る事は出来ないので迎えと一緒に来ると言っていたらしい。
小一時間後、
ザッパァンッ!
小さな水飛沫と大きな水飛沫が上がった。
「あっ、キラホシちゃん」
「・・・サクノちゃん」
小さな水飛沫を上げたのは昨日サクノと友達になったキラホシ、そして大きな水飛沫を上げたのは、
「おいカンナ、これって・・・」
「・・・潜水艦だな。というか・・・」
鯨の形を模した巨大な潜水艦だった。だがこれには見覚えがあった。
パカッと扉が開き、中から人が出てきた。
「あら?あなた達は確かサクノ姫御一行じゃありませんか?」
「・・・あなたは、カイリン殿!?」
そう。この潜水艦、もとい海賊船はノーチラス号だったのだ。中から出てきたのはノーチラス号船長、カイリンだった。
「どうしてカイリン殿がここに?」
「いえね、そのキラホシちゃんがお友達を家に招待したいから迎えるのを手伝ってほしいって言われまして。ちょうど暇だったのでこうして参上した次第なんです」
「そうでしたか。ですが、貴方がここにいるという事は、ここはビクトリアアイランドの何処かなんでしょうか?」
「いえ、違いますよ。立ち話もなんですし、どうかお入りください。詳しいお話は移動中にしましょう」
サクノ達はカイリンに招かれ、ノーチラス号の船内へと入っていく。
「それでは行きましょうか。海の王国、アクアリウムへ」
ちなみにこの話では、アクアリウムは王国という設定です。
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