サクノはカイリンから色々と話を聞いた。彼女達ノーチラス号はアクアリウムとの交流があり、定期的に訪れているらしい。今回は偶々訪問日であり、キラホシのお願いを聞き届けたのだ。
ノーチラス号に乗る事数時間。
サクノ達は海の王国、アクアリウムへと到着した。
「ここが、アクアリウムか・・・」
「すごいわね・・・」
それは不思議な所だった。ここは海中だというのに、何故か陸地がある。
「この国には特殊な結界が張られて、海中でも陸地と同じ場所を作っているそうです。他にも日の光と同じような光を発する海中植物、その光で光合成をする植物によって空気が供給される為、普通に呼吸が出来るんです」
カイリンは移動中もサクノ達にアクアリウムについての説明を行っていた。事前に聞いていたとはいえ、自分の目で確かめるとやはり驚きを隠しきれない。
「では我々はこれにて失礼いたします。また何か遠慮なくノーチラス号をお尋ねください。クルーの者達には話を通しておきますので」
「はい。何から何までありがとうございます」
サクノはペコリとお礼をして、カイリンとはここで別れた。
「えっと、それでキラホシちゃん」
そしてサクノは、ずっと隣を移動していた――下半身が魚なのに何故か足の生えて腰にスカート状の布を巻いたキラホシに顔を向けた。
「どうして足が生えてるの?」
「・・・人魚は練習すれば鰭を足に変えられる。じゃないと陸地を歩けない。ここだと鰭のままでも移動できるけど、こっちの方がサクノちゃんと歩ける」
「そうなのね。凄いわ」
「・・・ん、ありがとう」
ルンルン♪と手を繋いで楽しげに歩くサクノとキラホシ。
それを後ろから諦観した目で見つめるカンナ達。もうツッコむだけ無駄だと理解したらしい。
「ねえカンナ、あの子ってパンツ穿いて・・・(ボコッ)あぁんっ!?気持ち良いぃぃぃっ!(ビクンビクンッ!)」
馬鹿な事を聞こうとしたミヤビの顔面をカンナが殴り、ミヤビはそれに悶絶しつつ一行はキラホシの家へと向かう。
「キラホシちゃんのお家はどんなのなのかしら?」
「・・・着いてからのお楽しみ」
「そう。それじゃあ楽しみにしているわ」
「ああ、サクノ・・・」
カンナはサクノが自分以外の誰かと楽しく歩く姿を疲れた目で見ていた。
「あの姫、カンナが限界みたいなんで休ませたいんですが・・・」
「おい待てリュウ。私は平気だ」
それでも意地を張って疲れていないように見せるカンナだったが、サクノにはお見通しのようだった。
「カンナ」
スタスタ、と近づいたサクノはカンナに顔を近づける。
「な、何だサクノ」
「カンナはゆっくり休みなさい。疲れっぱなしは良くないわ」
「ば、馬鹿な事を言うな!?そんな事出来る訳ないだろっ!」
突然の発言にカンナは反対の声を上げる。
それを見たリュウはカンナの肩をポン、と叩く。
「休めカンナ。後は俺らで見とくから」
「だ、だがリュウ・・・」
「ゲンブ、お願いね」
「うむ。承知しましたぞ」
ゲンブはそのカンナを軽々と持ち上げると肩に抱える。
「お、おいデカブツ降ろせ!」
「カザミ、ついでにミライも連れてってくれ」
「うむ。了解した。よしミライ、行くぞ」
「お兄様お兄様お兄様お兄様お兄様・・・」
「あー!私も行くわー!」
ついでに未だ落ち込んでいるミライをカザミとミヤビが連れていった。
残りのリュウ、ヤヨイ、ミウ、キジャがサクノについていくことになった。
「行きましょうキラホシちゃん」
「・・・ん」
サクノとキラホシは手を繋ぎなおして再び歩き出した。
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