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幽霊は存在するのかって?そんな議論に意味はない。
見えるときには見えるし、見えないときには見えない。それだけのこと。
どうしても幽霊が見たい?
いいぜ、だったら教えてやるよ。
でもな当然自己責任だ。覚悟のある奴だけ試してくれ。
お前は百物語って知ってるか?
怪談を100話語り終えると、本物の幽霊が現れるってあれさ。
嘘だって?嘘じゃないさ、昔から語り継がれてきたのには、それなりの理由がある。
成功させるには外しちゃいけないことがあるんだよ。それは真剣に語るってことだ。
お前たちはいつも途中でふざけて馬鹿話にしてしまう。それじゃ幽霊は現れない。
でも分かるぜ。100話もの怪談、一人で語れる訳も無いし、
友達と一緒にやれば、緊張が緩んで話が逸れる。
そこでだ。簡単で確実な方法を教えてやる。
"怪談"でぐぐれ。そうすれば一流の語り部たちが出てくる。
あとは簡単さ、再生させたまま寝ちまえばいい。
寝ちまったら幽霊が見えない?
せっかちな野郎だな。いいか、幽霊はすぐにはお前の前には出てこない。
三日だ。ゆっくり時間を掛けて三日後にお前の前に現れるんだ。
一日目。
ある意味、一番重要な日だ。なぜなら百物語が成功したかどうか分かるからだ。
いつも通り布団に入り目を閉じてろ。そうしたら幽霊がお前に自分の存在を知らせに来る。
ある時は天井でギギギッと軋むような音がするかもりれない、
ある時はミシッミシッっと廊下を歩く音がすることもある。
もっとも鈍感なお前は気付かないかも知れないけどな。
二日目。
ようやく鈍感なお前にも幽霊の存在を実感する。
洗面台で歯を磨いているとき鏡の隅で薄っすらと佇む人影が見えるかもしれないし、
風呂場で頭を洗っているときに、そっと背中を撫でられるかもしれない。
なんにせよ。もうお前は逃げられない。
三日目。
就寝中、突然体が動かなくなる。
そして目を開けると待望の幽霊とのご対面って訳だ。
奴は恨めしそうな顔で、そっとお前の頬を撫でるだろう。
そしてお前の手首もしくは足首を掴み、ゆっくりと布団から引きずり出す。
その先は自分で確認してくれ。
それじゃ良い出会いを。
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