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「――海、行きませんか」
現代。日差しが強い日、マステマはデーモンを思い切って誘ってみた。胸の鼓動がいつもより早く感じる。こういう時は、恋する年頃の娘らしい。戦場で敵に向かうそれとは別の意味で勇気が必要だったが、幸運にも、彼はその提案に乗る。彼は彼なりに、ここ最近、彼女に構ってやれていないことを気にしていた。
そういうわけで、二人してゴールドビーチにやってきたのだが、なんだか周囲から視線を感じる。魔族の見た目は人間とは大きく異なる。悪目立ちしているか、と思うデーモンだったが、マステマは自分と出かけられたことに喜んでいるようなので、気にしないことにした。
彼女は彼女で、周りからの目には気づいていた。彼女はそれを物珍しさからと感じていて、スタイルこそ同年代の魔族の子とあまり変わらないだろうし、変じゃないよね、と思っていた。実のところ、引き締まった戦士の精悍さと、女性としての魅力が同居している、そのしなやかな肢体は、周囲の――主に男性からの――視線を集めていたのだった。
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